叩きたい人は事実であるかどうかなど気にしない
しかし、そもそもその前提となっている事実が違うということは誰も気にしない。未婚化はおじさんが扇動したわけではないし、親元にいる未婚が未婚化を促進したわけではなく、それは結果である。
また、弱さや甘えで親元にいるのではなく、そもそもずっと昔から結婚するまで親元に住むのが当たり前だったのに、そんな事実は無視されてしまう。叩きたい人にとって、事実であるかどうかなどどうでもよくて(本当の魔女かどうかなんてどうでもいいと一緒)、みんなの安心のための生贄を屁理屈でも用意しないといけないという考え方なのである。
まさに、古代ローマ帝国の礎を築いたユリウス・カエサル(シーザー)の言葉とされる「多くの人は、見たいと欲する現実しか見ない」そのものである。人間は自分が見たいものしか見ないし、たとえ目に入っていても記憶のフォルダーに残らない。信じたくない事実は無視し、信じたいと思う事実だけを脳内に取り入れようとする。心理学において、確証バイアスと呼ばれるものである。
勿論、人間である以上、メディアにいようが、知識人であろうが、何かしらのバイアスを持っているものであり、考え方に偏りがないわけではない。それは仕方のないことであるが、少なくとも事実を隠ぺいしたり、捻じ曲げてまで自分の主張を押し通すために大噓を発信するのは控えるべきだろう。社会問題の責任を特定の誰かの属性の責任に押し付ける行為は、差別行為につながる危険性も秘めているからである。
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