「10増10減」混乱も「なんだかんだ自公はうまくやる」
翔太郎氏の問題とともに、ここ最近の首相の頭を悩ませてきたのが、「10増10減」をめぐる自公の対立だ。
公明は、次回衆院選で東京の選挙区が増えることを受け、東京28区に公明候補を擁立することを求めていたが、自民が認めなかった。結局、公明は28区の擁立は断念する一方、東京都内の自民候補を推薦しない方針を伝達。自民党内からは「1選挙区あたり公明票は2万票ほどある。公明から推薦をもらえない影響は大きい」との嘆きの声が聞こえる。
しかし、全国紙政治部記者は対立の影響は限定的とみる。
「公明は連立離脱までは望んでいないし、都内で自民候補を推薦しないとはいえ、選挙では水面下での様々な協力のしかたがある。自民も、公明が候補者をすでに発表した埼玉、愛知の選挙区では候補者を擁立せず、公明の顔を立てる形にする。なんだかんだで、うまくやるはずだ」
この政治部記者は、自公の対立、翔太郎氏の問題はあったが、夏の総選挙は十分あり得るとみる。
「首相はサプライズ好き。自公の混乱、翔太郎氏の問題にも一定のけりをつけ、直前まで解散に向けた動きは悟られないようにしながら、6月解散、7月総選挙を仕掛けてくる可能性は十分ある」
一方、対する野党第一党の立憲民主党には、あきらめムードや、党の分裂を危惧する疑心暗鬼の雰囲気がただよう。
「正直、夏だろうが秋だろうが、いつ解散しても、立憲にとっては同じでしょ」とため息をつくのは、落選中の立憲の前衆院議員だ。
泉健太代表は、次の衆院選で、現有議席の約1.5倍となる150議席に達しなければ代表を辞任する考えを明言。だが、共同通信が27、28日に実施した世論調査では立憲の政党支持率は8.8%で、維新の12.6%に4ポイント近くの差をつけられるなど厳しい状況が続き、党内では、衆院選後の泉氏の引責辞任は既定路線になっている。
泉氏の意向について立憲関係者は「まったく党勢が上向く兆しがない中、4月の国政補選で1勝もできなかった責任も問われ、泉代表は辞めたくて仕方がない」と解説する。
「岡田克也幹事長が必死になって泉代表の辞任を止めてきたが、その背景には『泉代表自身も代表を降りたら、維新に行ってしまうのではないか』との懸念もあった。もはや、代表すら他党に行ってしまうのでは、と思われるくらいに、党内は疑心暗鬼の状態だ」(前出の立憲関係者)
物価高、少子化対策など国民にとっての課題は山積みだが、与野党ともに目の前の衆院選に向け、浮足立っていることだけは、確かなようだ。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班