集出荷施設の老朽化で青果流通に不安
JAが所有している青果物の集荷と出荷の機能を持つ施設(以下、青果物集出荷施設)が老朽化し、各地ではその再編が課題になっている。青果物の流通の要である施設の更新なくして、これからの産地はありえない。
とはいえ多額の投資をして青果物集出荷施設を新しくしたところで、受益者である農家が減る中では採算性を確保できるのか不透明だ。すでに北海道を除く都府県のJAの9割ほどは、農畜産物や農業資材、食品や日用雑貨品の売買といった農業に関係の深い経済事業は赤字である。それを信用(銀行)事業と共済(保険)事業(併せて金融事業)で穴埋めをしている。
ただ、これまた人口減に伴う顧客数の減少や超低金利などのあおりを受けて信用事業の先行きも危うい。おまけに共済事業も、JA離れで契約数は減ることが懸念されている。だからなおさら青果物集出荷施設への投資には慎重にならざるをえない。
まずは、青果物集出荷施設とは何かについてあらためて説明しよう。これは文字通り、農家が作った野菜や果物などの荷物を受けて、規格に沿って選別して荷造りし、ときに予冷や貯蔵をしながら、卸売市場や量販店などに出荷する機能を持った施設である。JAが一連の作業を一括して請け負うことで、農家は個別にそれらの作業を負担させられることがなくなり、営農に集中できるようになっている。
その青果物集出荷施設は、全国にどれくらいあるのだろうか。農水省がまとめている「農協についての統計」によると、施設の数は2015年に4410だったのが2020年には4179にまで減っている(図表1–3)。