結局本当のバカは誰だったのか

しかし、初期コストは高く、中小・零細出版社にはデジタル人材が決定的に不足しており、「いろんな人が来て、いろんなことを提案したものの、経営者にはどれが正しいのか最後までわからなかった。紆余曲折を経て、誌面のPDFをそのまま売ることになったが、特集で最も力を入れた誌面が200円でたった3部しか売れなかった」(有名雑誌を発行する中堅出版社)というのは笑えない話だ。

紙の雑誌と並行して有料デジタル化をいち早く決めたのは経済誌『週刊ダイヤモンド』編集部だった。先の「2027年、紙の雑誌消滅」を予測してのことだったが、ダイヤモンドが有料デジタルを始めた時、ライバル社は「何億円もかけて、全然会員を獲得できていないではないか。バカなことをやっているな」などと悠長に眺めていたものだ。週刊誌編集部も同様で、ダイヤモンドに追随しようとする「バカ」は現れなかった。

しかし、ダイヤモンドはその後、順調に有料会員を獲得し、独走状態に入っていった。紙の週刊誌が消えてなくなっても、独り立ちできる状態にまでなっている。ダイヤモンドが「バカ」だったのではない。他社こそ本当の「バカ」だったのだ。

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『週刊誌がなくなる日 - 「紙」が消える時代のダマされない情報術 - 』
(ワニブックスPLUS新書)
小倉 健一
誰が「週刊朝日」を殺したのか…週刊誌は4年後に全滅する?「限界に達した雑誌編集部と無料オンラインメディアが怯えている」_6
2022/8/22
¥990
216ページ
ISBN:978-4847061974
コンビニから雑誌コーナーがなくなり、都内の書店も減少傾向にある現在。スマホで誰もがニュースや新聞を読める中、紙の週刊誌は消滅の危機にある。電子書籍化、ウェブサイト化も進んでいるが、勝ち組・負け組の格差は広がるばかり。メディア戦国時代をどう生き抜くか。読者はどう効率的に情報を収集すべきか。元『プレジデント』最年少編集長が解説するメディアの現在と未来。

○内容より
第一章:メディアの最前線で何が起きているか
第二章:紙のメディアは5年で消える
第三章:儲かるメディア、死ぬメディア
第四章:デジタル化で起きる大問題
第五章:メディアを使い倒せば情報強者になれる

発行:ワニ・プラス
発売:ワニブックス 
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