詐欺の加害者が狙っている人の特徴

発達障害といっても、複数の発達障害を併発していたり、知的障害もあったりと様々だ。ただ、健常者と比べると、相手の主張に矛盾点を見つけて断ることが苦手だったり、契約書の細かな条項を理解するのが不得意だったりといった特性がある。そうしたことが悪用され、詐欺の被害に遭う。

特殊詐欺のターゲットになりやすい「高齢者」と「障がい者」――社会的弱者の詐欺被害を最小限に抑えるために必要なこととは_2

恐ろしいのは、一時的に解決したと思っても、時間をおいてまたターゲットにされることだ。正也とは別の人物に、戸上謙一(26歳、仮名)がいる。彼の場合は、ゲームを介して詐欺の被害に遭った。

謙一は次のように言う。

「僕はゲームが好きで昔からよくやっていました。そこで(オンラインで)つながった人と仲良くなって、個人的にもいろいろと連絡するようになったら、レアなカードを格安で売るとか、車の事故を起こしたからお金を貸してほしいとか、お金がないならいい投資家を紹介するとか。
いろんなことを言われてお金を盗られたんです。怖かったのが、いつの間にかその仲間たちが周りにいて、似たような形でお金を要求されるようになったことです」

詐欺の加害者は、ゲームやSNSの中で常にターゲットを捜している。そして、相手がカモになると思った途端、仲間内で寄ってたかってたかることがある。そのため、トラブルが発覚した時には被害者は膨大な被害を受けている。

そして、こういう詐欺の加害者が狙っている人こそ、障がいを持っていたり、判断能力が弱い人たちなのである。

詐欺を生業にしている犯罪グループのメンバーによれば、金持ちであっても頭脳明晰な人間をターゲットにすることは少ないらしい。現在は様々なところから足がついてしまうため、判断能力の高い人に近づくのはリスクでしかないらしい。

その代わり、彼らはお金がなくても、判断能力が劣っている障がいのある人を狙い撃ちにする傾向にある。今は、当事者が大金を持っていなくても、ローンを組ませたり、個人情報を盗み取ったりすることによって、貯金以上の金額を引き出すことが可能だ。それなら、捕まるリスクのある金持ちより、そうでない人から短期間でできるだけ搾り取る方が効率的なのだそうだ。