「住宅弱者」に向けられる心ない言葉たち

――住宅弱者が家を借りるために不動産会社を巡るとき、どんな対応を受けているのでしょうか。

LIFULL HOME'Sは、2022年4月に住宅弱者の住まい探しに関する実態調査を行いました。それによると、家を探すために情報収集した際に「来店や対応を断られた」「自分の状況をどこまで正直に開示すべきが迷った、わからなかった」などと答えた住宅弱者は、住宅弱者になる要素がない一般層よりも、総じて多い結果になっています。

“住宅弱者”が直面する「同性カップルはトラブルが多いから…」「高齢者は支払いや孤独死の懸念があるから…」何も悪くないのに家を借りられない現実_2
出典:LIFULL HOME'S報道参考資料(2022年7月)より(以下同)

また「自身のバックグラウンドがハードルとなり、候補となる物件が少なかった」と感じる住宅弱者は、以下のような割合でした。高齢者や在日外国人、シングルマザー・ファザーの比率が高めです。

“住宅弱者”が直面する「同性カップルはトラブルが多いから…」「高齢者は支払いや孤独死の懸念があるから…」何も悪くないのに家を借りられない現実_3

不動産会社を訪問した際に「入居審査が通るか不安だった」「プライバシーを侵害されていると感じた」などと回答した住宅弱者も、一般層より多い傾向があります。

“住宅弱者”が直面する「同性カップルはトラブルが多いから…」「高齢者は支払いや孤独死の懸念があるから…」何も悪くないのに家を借りられない現実_4

――「プライバシーを侵害されていると感じた」とありますが、具体的にどんな言葉を投げかけられたのでしょうか。

例えば、高齢者であれば「高齢者なので、収入源について何度も確認された」(女性60代以上)、LGBTQであれば「個人情報を根掘り葉掘り聞かれた」(女性20代)「ジェンダーの点を開示しないと契約できないような物件があった」(男性20代)などです。

このほか、以下のような心ない対応をされた住宅弱者もいます。

・在日外国人「外国籍のため、大家さんに断られたことがあります。また、日本人の緊急連絡先が必要ということ。いないと必ず断られます」(女性30代)
・LGBTQ「女性同士のカップルはトラブルが多そうという理由で入居を断られた」(女性30代)
・生活困窮層「生活保護者とは契約しないオーナーがいて希望物件を契約できなかった。単身世帯のため、近隣に親族がいる事が前提になる不動産会社があった」(男性60代以上)
・シングルマザー・ファザー「初めて賃貸を探し始めた時、新人営業の方に、家賃はきちんと支払えますか?と失礼なことを聞かれた」(女性40代)
・被災者「詳細を聞かれ嫌な顔をされ、それ以降は嫌々対応された」(女性20代)
・障害者「精神障害者という事で契約が破棄になったり、『精神障害者には貸せる物件が無い』と言われたことがある」(40代男性)
(以上、すべて前述の報道資料より)