「鳥貴族」の大ブームが
今の特化型居酒屋時代の下地を作った?

納得の理由で拡大を続ける特化型居酒屋だが、近年のブームの下地を作ったのは、あの有名居酒屋チェーンだったそうだ。

「『鳥貴族』です。同ブランドは焼き鳥に特化した居酒屋チェーンで、1986年からこのスタイルで勝負を続け、躍進してきました。最初は総合居酒屋ブームに押される形で後手に回っていましたが、総合居酒屋業界が低価格競争を始めた2010年代ごろからその存在感を増していきます。

総合居酒屋というものはオールマイティさが売りな分、他社と競う際は基本的に低価格競争に陥らざるを得ず、それに伴って商品の品質が下がりがちな傾向がありました。

ですが、焼き鳥に特化していた『鳥貴族』は、低価格でありながら、メニューを焼き鳥に絞ることでコストを品質維持に回せていたので需要を一気に伸ばし、2017年には売上高で総合居酒屋の代名詞的存在だった『ワタミ』を追い抜いたのです。

この『鳥貴族』の成功が非常にいいロールモデルとなり、業界全体が特化型居酒屋にシフトするひとつのきっかけになったのではないでしょうか」

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ここまでの話からして、特化型居酒屋は若者層もうまく取り込めているということなのだろうか。

「傾向として“仲間内で飲む”ことが増えたことや、特化型居酒屋が人件費削減のためにタッチパネル式を多く採用するようになったこともあり、若者の需要が増えてきた部分はなきにしもあらずでしょう。

ですが、個人的にはどの世代にも受け入れられるようになってきたと思います。お店のスタイルが“一人飲み”でも大歓迎ということも理由にありますね。新しいスタイルを素早く取り入れるのは若者の特権ですが、出始めの2019年から時間が経ち、徐々に中高年の層にも広まってきた感があります」