コロナ禍で一変した飲みニケーション文化が
特化型居酒屋を生んだ
コロナ禍を経て、飲み会文化はどう変化したのだろうか。
「少人数かつ仲間内で行く、行ってもはしご酒はせずに一次会で切り上げるといったスタイルが主流になってきた感があります。そうなると、これまで大人数での飲み会需要をベースに経営スタイルを組んでいた総合居酒屋は、売り上げが落ち込む事態に陥ってしまいました。
低下した需要のなかでもお客を呼び込まなければならない。そこで居酒屋業界が取り始めた戦略が特化型居酒屋への転換でした。これは、少人数での来客が増えていったことに伴って、お客が求める居酒屋像が“頼めばなんでもある店”から、“何か美味いものが食べられる店”に変化してきたことへの対応だったのでしょう。
そしてここがもっとも重要なポイントで、そうなってくるとお店選びの段階がすでに“メニュー選び”と同義になってくるわけです。だからこそ他社との差別化競争も活発になり、“うちはこれがメインなんですよ!”と店名からアピールする特化型居酒屋が増えたのではないでしょうか」
お店選びが“メニュー選び”とは言い得て妙だが、確かにそれなら総合居酒屋が衰退してしまったのも頷ける。また重盛氏は、特化型居酒屋というのは、総合居酒屋より運営がラクなのも増加の一因だと続ける。
「総合居酒屋はメニュー数確保のために高いコストがかかりますが、特化型居酒屋はメニュー数を絞ることで食材や調理器具数などを節約できるのでコストが抑えられ、開店にかかる初期投資費用が断然安く済むのです。さらにその分、食材や調理へのこだわりに充てることができて一石二鳥なのです」