神宮外苑再開発も巨大な「東京五輪問題」ひとつ

一般市民は誰も得しない奇妙な再開発計画を理解するには、約10年間にわたる水面下の動きを時系列で知る必要がある。

<神宮外苑再開発>「環境破壊」以外にもデメリットが山積。東京都がひた隠しにしてきた10年間の入念な「下準備」_5
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本来、「風致地区」(良好な自然景観を維持するための厳しい基準が定められた区域)に指定された神宮外苑の建物の高さ制限は15mだったが、東京都は2013年(東京五輪招致決定と同年)に国立競技場建設を口実に高さ制限を一気に75mへ緩和

さらに容積移転(別の建物に容積を移転して高さ制限をさらに緩和させる手法)を駆使して、一気に190mの高層ビルの建設も可能にした。五輪招致(特に新国立競技場建設)と密接に関係しながら、遅くとも2013年から神宮外苑再開発は水面化で進んでいた。

くわえて東京都は並行して以下の規制緩和も実施している。

・五輪招致直後の2013年12月に都は「公園まちづくり制度」(未供用の状態が続く都市計画公園は、公園指定を解除して事業者による再開発を可能にする制度)を創設。「秩父宮ラグビー場は敷地が塀で囲われており、自由に通り抜けができない」という信じがたい理由で「未供用」と判断して2021年7月に同制度を適用し、公園指定を解除。

・都から要請を受けた新宿区が2020年2月に建国記念文庫の森および神宮第二球場の風致地区を規制が最も厳しい「A地域」や「B地域」から「S丙地域」に変更(格下げ)。しかも、新宿区はこの変更を丸3年間も隠し続け、2023年2月の区議会で初めて発覚。

一連の入念な下準備(新国立競技場建設を口実にした高さ制限緩和、公園まちづくり制度による指定解除、風致地区の変更、等)で高層ビル建設を含む大規模再開発を可能にした後、東京都は2021年12月に再開発計画の詳細を発表。計画の実態がようやく明らかになったことで2022年以降は抗議活動が活発化したが、すでに工事開始まで約1年を切っていたこともあり、残念ながら工事を止めるには至らなかった。少なくとも約10年に及ぶ水面下の動きに加えて、情報をギリギリまで隠す工作が功を奏してしまったと言える。