目標は「日本人」の力で大麻合法化を目指すこと

日本では、古来より大麻を神道での祭事や建築、繊維、紐縄などさまざまな用途に有効活用してきた歴史があるほど、日本は大麻の利用においては世界的にも先進国だった。しかし終戦後の1948年、GHQの指示によって制定された大麻取締法によって、大麻は「悪いもの」として頭ごなしにタブー視されるようになった。このような歴史があるからこそ、マリファナマーチでは自分たち”日本人”の力での大麻合法化実現を目標に据えている。

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大麻の製造過程(写真提供/マリファナマーチ東京)

「現在、アメリカの連邦法では違法とされていますが、もし連邦法で合法とされれば、日本も外圧で大麻解禁を行う可能性があります。一度、厚生労働省の官僚たちに『もし連邦法で大麻が合法になったらどうしますか?』と問いかけたら『追従するしかない』との答えがありました。アメリカによって押し付けられた法律をアメリカによって解禁されるのは悔しいですよね。だからこそ、自分たちの力でなんとかしたいという気持ちがあります」

最後に、根岸さんは大麻合法化についてこのように話している。

「病気で苦しんでいる人が何十万人もいて、それをわかっていても自分が何もしないのであれば自分も大麻をめぐる現況に加担しているのと一緒です。過去に、日本はハンセン病患者を迫害し偏見差別をしていた歴史がありますよね。この問題と大麻は構造的には同じです。同じ過ちを決して繰り返してはいけません」

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根岸さんが所有する大麻関連の蔵書の一部

また、今年のマリファナマーチ東京2023に準備会から参加しているMさんは大麻取締法についての研究を行っている大学院生だ。

「マリファナマーチへの参加は、誰かにとって大麻規制について考えるきっかけ、その一助になり得ることです。大麻について興味を持ってもらうことは、大麻規制のあり方が変わるために重要だと感じています」と、まずは知ってもらうことから始めることが大事とMさんは話す。

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「マリファナマーチ」には老若男女さまざまな層の参加者がいる(写真提供/マリファナマーチ東京)
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「マリファナマーチ東京2023」のポスター
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大麻を合法とするか違法とするかはまだまだ議論の余地はある。しかし、まずは大麻の正しい知識を知ることが、問題を解決していくための第一歩ではないだろうか。

#2「急激に拡大するCBDビジネスの闇」へつづく

取材・文・撮影/越前与