常在菌とは?
まず、常在菌の問題がある。
人間は細菌とある意味で“共存”している。皮膚の表面、口腔内、腸の中……人間の体のさまざまな所に細菌は住み着いている。これらを「常在菌」と呼ぶ(胃がんの話で紹介するピロリ菌も、胃の中に住み着いている)。さらにいえば、住み着くだけでなく人間にとってよい作用をもたらしてくれる菌も存在する。
代表的なものが“腸内細菌”だ。
腸内細菌の代表格であるビフィズス菌や、乳酸菌は「善玉菌」とも呼ばれ、腸の調子を整えてくれる作用があるとされている。
そこで抗生物質を漫然と内服したらどうなるだろうか?抗生物質は種類によってターゲットの幅は変化するものの、人間にとってよい菌と悪い菌の違いを判断できる能力はない。
そのため、抗生物質を飲み続けることで善玉菌が死滅し腸内細菌が乱れ、下痢の症状が引き起こされる場合もある。
それだけではなく、平和な腸内環境が抗生物質によって乱され、別の細菌が腸内で暴れることで腸に炎症が起き、発熱したり、血便が出たりすることさえ起こりうる。この炎症を医学用語で“偽膜性腸炎”と呼ぶ。
こういった弊害があるからこそ、抗生物質は本当に必要な病気だけ使用するべきなのだ。