「湖池屋プライドポテト」大ヒットの裏側にあった“社内闘争”。少子高齢化で頭打ちのスナック菓子市場に「会社の再生をかけてなんとかしないといけない」_10
リニューアルを経た現在の「湖池屋 プライドポテト」

ポテトチップスを巡る“戦い”を経て大ヒットへ

「売上規模が小さくなる可能性もある。会社の幹となる大事な商品なので、議論に議論を重ねました。愛があるからこそ、みんなで真剣に考えた。闘いでしたね(笑)」と小幡さんは続ける。

「ポテトチップスを食べるとき、食べ比べはあまりしないですよね。目の前にあるひと袋を開けて、1枚食べた瞬間に圧倒的な美味しさが表現できないと意味がない。

なので、象徴の味を4品として、味のブラッシュアップに力を入れました。例えば、普通のポテトチップスの味付けは揚げた後のシーズニング(調味料)のみですが、プライドポテトは魚介出汁で下味をつけて、さらに味付けを重ねることで奥深さを出しています」(髙戸さん)

そうして2020年2月、「湖池屋プライドポテト」として表記も変更してリニューアルすると、大ヒット。

発売5カ月で前年同期比の3倍にあたる2500万袋を出荷した。2023年2月、味やデザインにブラッシュアップを加えて再リニューアルし現在、プライドポテトの販売累計数は約3億袋に達している。

4月には「焦がしキャラメル」味を発売予定。時代の波や客のニーズを見極めながら、変化を続けている。

「店頭においてスナックは2秒で買いたいかどうかが決まると言われています。直感的なおいしさを訴える必要がある」(髙戸さん)とパッケージデザインにもこだわっている。

湖池屋は、今年1月まで東京国立博物館で開催されていた「150年後の国宝展」にも出展。

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広報部の伊藤恭佑さん
「湖池屋プライドポテト」大ヒットの裏側にあった“社内闘争”。少子高齢化で頭打ちのスナック菓子市場に「会社の再生をかけてなんとかしないといけない」_12
「150年後の国宝展」の限定商品
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「ポテトチップスなどのスナック菓子に限らず、もっと食の領域に近い商品をつくっていきたい」(広報部・伊藤恭佑さん)と、挑戦を続ける構えだ。

終わり

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取材・文/高山かおり
撮影/近藤みどり
写真提供/湖池屋