藤崎氏の就任によって何が変わったのか

2017年7月の事業譲渡の時点において、藤崎氏はまだ社外の商品開発顧問という立場だった。その約2ヶ月後に社員として誘われ、2018年8月に社長に就任。一方、ドムドムフードサービスの2018年3月の決算はマイナス。結果だけを見ればサクセスストーリーに見えるが、厳しいスタートでもあった。

藤崎氏は社長就任後、積極的にイベントに参加し、ドムドムハンバーガーに対して利用者が何を求めているのか、リサーチすることに着手したという。

「大手3社が86%の店舗数シェアを占めるハンバーガー業界で、私たちが消費者からどのように見られていて、何を求められているのかを調べることに注力しました。

たとえば、我々は小さなスーパーマーケットなどにも出店していて、地域のお客様に50年間もブランドを守っていただいておりました。400店舗あったチェーンが30店舗まで減ったら、普通は続けられないですよね。でも、長い間愛してもらったブランドだからこそ、こうした店舗が残っていると改めて理解したのです。

一方で、これは裏を返せば、クーポンや新しい取り組みをしたとしても、限られたお客様にしかアプローチできないということを意味します。となると、外に出てブランディングをしなくてはならないと考えました」(藤崎社長)

Z世代のファンも急増中。オリジナルグッズも絶好調な「ドムドムハンバーガー」が、“絶滅寸前”から復活できた理由_3
「イオン海浜幕張店」2階フードコート内にある「ドムドムハンバーガー イオン海浜幕張店」

ドムドムハンバーガーの復活には、どうやらこの藤崎氏流のブランディング方針が大きな影響を与えたようだ。

「普通のブランディングなら、私たち自身が『ドムドムハンバーガーって、こういうものです。ここを好きになってください』と発信するわけです。しかし、そうではなくて、あくまでお客様やスタッフの人生に寄り添って並走し、共感・共存することでブランドを育む––––––そういったブランドになろうと決めました」(藤崎社長)