39歳でSHIBUYA109のショップ店員に
——藤崎さんは、飲食チェーンの代表取締役として珍しいご経歴をお持ちですよね。元々何を目指されていたのですか?
これ言うと皆さん驚かれるのですが、私の夢は元々「お嫁さん」だったんですよ。私は短期大学を卒業して21歳で結婚したので、その夢は叶いました。しかし、39歳のときに主人が体調を崩してしまい、私が家計を支えないといけなくなってしまったんです。
そうして最初に勤めたのが「SHIBUYA109」内のアパレルショップで、その後、小料理屋でのアルバイトを経て、起業して居酒屋の経営を始めました。そのお店の常連にレンブラントホールディングス(ドムドムフードサービスの親会社)の専務さんがいらっしゃって、「商品開発を手伝ってほしい」と声をかけていただき、それからドムドムフードサービスのメニュー開発に携わるようになりました。
——スカウトされたときはどう感じましたか?
私は当時50歳でしたので、大きな企業から誘っていただいたこと自体がすごく嬉しかったです。まだ居酒屋の経営が残っていたので、2ヶ月くらいは外部顧問として関わりまして、そのあとに同社の社員になり、2018年8月に代表取締役社長に就任しました。
——さまざまなご経歴のなかで、現在の経営スキルにも繋がっていくような経験もあったかと思います。
そうですね。中でも、やはり就労経験がまったくない状況で勤めたSHIBUYA109のショップでの経験が、今に繋がっていると思います。
当時は、ちょうど“ギャル文化”の全盛期。自分の子どもと同年齢くらいの若者たちと一緒に働くことは、とても新鮮な経験でした。彼女たちと一緒に働くことで、それまでの凝り固まった価値観がよい意味で壊されたのです。
今に通じる「こだわらない精神」みたいなものも、ここで学びましたね。SHIBUYA109で働いた経験がなければ、もしドムドムフードサービスに来ても、今のような柔軟な発想は生まれなかったかもしれません。