ユニフォームやスパイク以上に可能性が眠っている
ここからは五本指ソックスが新時代の日本サッカーのレベルを引き上げる可能性を秘めている2つの理由について考察していきたい。
第1の理由は、これまでソックスがあまり重視されてこなかったがゆえの伸びしろだ。
ユニフォームは以前よりも軽くなったり、吸水性や速乾性などが向上したりしている。スパイクも軽量化が計られ、耐久性や機能性が上がっている。
日本代表ユニフォームの新しいモデルが発売されるたびにバージョンアップした機能がニュースになるし、主要スポーツメーカーから年に数回は新モデルが発売されるスパイクについても、そのたびに進化したポイントが広告などで話題になっている。
ところが、ソックスの機能向上については、これまで軽視されることが多かった(その背景には、指が収まる先端の部分がスパイクに隠れているという事情もあるだろう)。今後、ソックスの恩恵を受ける要素を増やせれば、選手たちのパフォーマンスを向上させたり、ポテンシャルをより大きく引き出せるようになったりする可能性が眠っている。
カタールW杯ベスト16進出チームのなかでは最高位となる9位に相当する、とFIFA(国際サッカー連盟)に認定された日本代表だが、本場のヨーロッパと比べればまだまだレベルに差があるのが現実だ。その差を埋めるために、サッカーの戦術や選手のフィジカル能力をいかにして上げていくべきかについては、よく議論されている。
ただ、戦術レベルやフィジカル能力の向上だけではなく、選手が着用するギアの質の向上にも可能性が眠っていることを忘れてはいけない。水泳の世界などではギアの進化がパフォーマンス向上につながることが明らかになっているが、サッカーの世界でも同様のことがもっと考えられてもいいのではないだろうか。