当初の予定では「ドロドロの復讐劇」
――群青と赤城、二人の主人公の人物像はスムーズに決まったのでしょうか。また、執筆していくうちに二人が成長・変化したと感じる部分はありますか。
仇かもしれない相手と義兄弟になる、そうならずにはいられなくなる相手とは?を考えた時に、赤城の造形はできたのですが、どうにも侠気があって、私が思っていた以上に群青がなついてしまったので、当初予定してた「ドロドロの復讐劇」は早々に捨てました。無理に方向修正しようとするとキャラから「俺はそんなこと言わない」とNGを出されるので、ふたりの人間性ありきで舵をまかせることにしました。
成長&変化したのはやはり群青ですね。特に相剋編のガラリと大人びて登場するところ。青臭かった群青が、得体の知れない男として登場できるくらいには人間性の幅が広がったので、ギャップの部分も含め書いていて面白かったです。
――群青と赤城の名前には「青」「赤」という正反対の色の名前が入っています。これは何かを託して命名されたのですか。
わかりやすく青コーナーと赤コーナーですよね。リングの上に立つ。相剋編での対立がまさにそれです。
群青の青は夜明け前の空。冒頭出てくる「海」の象徴でもある。赤城の赤は荒野。昔、カンボジアに行った時、赤く乾いた大地の色が印象深かったので。荒野は終戦直後の焼け野原のイメージでもありますが、ふたりそろって乾ききった大地の夜明けです。