なぜ子どもへの輸血を禁じているのか
次に②の「子どもに対する輸血拒否」について。
輸血拒否そのものの問題については、信教の自由と生命の尊重の対立という大きな問題が根底に横たわっており、さらにインフォームドコンセントによる患者の自己決定権、そして治療に対する医師の裁量権など、問題が複雑なだけに、これまでもさまざまな議論が繰り返されてきた。
しかし子どもに対する輸血拒否については厚生労働省がガイドラインを示しており「18歳未満の子どもについては、医師が必要と判断したにもかかわらず、輸血などを受けさせないのはネグレクトに当たる」としている。
実際に2008年にはこのガイドラインの素案に基づき、1歳の赤ちゃんへの輸血を両親が拒否したことに対し、病院と児童相談所、そして家庭裁判所が連携して両親の親権を停止させ、赤ちゃんの命を助けたことがある。
しかし、緊急時などにこのような手続きを踏んでいる時間がない場合はどうするのか。厚生労働省はさらにガイドラインを練り、国は法制化していく必要がある。
ちなみにこの問題に対して、エホバの証人側は次のようにコメントしている。
「私たちの組織の特定の人が、輸血を拒否するよう、誰かに強制することはありません。エホバの証人は、輸血やその他の治療法を受け入れるかどうかは、各人の個人的な決定であると考えており、強制されたり、圧力を受けたりして決めることではないと教えています。親が聖書の原則に基づいて、愛情をもって子どもを教え導くことを勧めており、それは日本の最新の児童虐待防止に関する法律の考え方とも一致しています」
いかにも「本人の意思に任せられている」かのようなコメントだが、これはエホバの証人がいつも使うレトリックだ。