聖書を根拠にむち打ちを奨励
ちなみに子どもがむちで打たれる理由の多くは、「まじめに集会に参加していない」というものだ。だが、言うまでもなく育ち盛りの子どもに長時間じっとしていろというのは簡単ではない。1~2時間の集会ともなると、足をぶらぶらさせたり、後ろを向いたり、体をくねらせたりする。
するとどうなるのか。私はかつて、集会でこんなシーンを目撃したことがある。3歳ぐらいの男の子が我慢できなくなって、椅子からずるりと滑り降り、逃げ出そうと試みたのだ。すると隣にいた母親が「動いちゃいけないのっ」と叱責した。
その子はしばらくじっとしていたが、とうとう耐えられなくなって、体を左右に動かしながら騒ぎ始めた。母親は慌ててその子を抱き上げ、会場の外へと走り去っていく。きっとあの子は夜に、むち打ちを受けるのだろう。会場では、同じ年頃の子どもたちが一斉にその親子のほうに目を向けていたのが印象的だった。
現在、日本には約21万人のエホバの証人の信者がいるとされているので、相当数の「むち打ち」が行われていると思われるが、これらは常軌を逸している。子どもの体を傷つけるだけでなく、心にもトラウマを刻み込むものであり、児童虐待にあたると言わざるを得ない。厚生労働省はこの問題に真摯に対応する必要がある。
ちなみにエホバの証人側は、信者に対してむちを使うことを聖書(主に箴言22章)を根拠に奨励しておきながら、公には「聖書は虐待を勧めてはいません」(ものみの塔 オンライン・ライブラリー)としている。まったくどの口が言うか、である。