無法地帯のプラットフォームに危機感

ニュースの生態系にフェイクによる汚染が広がっています。汚染の中核を担うのが、ミドルメディアやポータルサイトの存在です。

ミドルメディアとは、SNSの情報などをもとにしたニュースサイトやまとめサイトのこと。「ネットで話題」と題して、バズっている話題について、取材や検証をせず「こたつ記事」を大量に作っています。

そして、フェイクニュースが生まれる温床となるこたつ記事を、ポータルサイトが拡散させるのです。

人々の関心を集めれば儲けられるならば、手間や時間もかかるニュースよりも、安上がりでクリック数を稼げるコンテンツを大量に作ればよいわけです。

AIのチャットボットに「女優の〇〇の記事を書いて」と入力して、返ってきた文章をコピー&ペーストして配信すれば完了です。もはや人間が書いた記事が必要なくなる世界なんです。

一方で、正しい情報を得るハードルが高くなると、それなりに事実がまとまっていて、それなりに有用なメディアの価値が高まっていくのは自然の摂理です。

無料とはいえ真偽不明のネットニュースを読むよりも、「お金を払って新聞を読んでおくか」となる人が多くなる近未来が予想されます。

5年後、10年後もPV至上主義が依然として蔓延したままであれば、無料のニュースは貧者の娯楽となるでしょう。

現代では無料でニュースに触れることに慣れてしまっています。将来、正しい情報を得るためにお金を出せるか否か、つまり貧困層と富裕層で取得する情報までも分断される可能性がある。

そうなってしまうと、社会合意や政策議論もできなくなってしまうでしょう。

ポータルサイトや検索エンジン、SNSなどのプラットフォームは、無法地帯である現状をきちんと整備をしていくべきです。

「表現の自由」と密接に結びついている領域なので難しい面もありますが、ニュースについてもメディア側で自主規制を検討していく必要があるのではないでしょうか。