オススメ変態作品5選
──変態文学の世界にどっぷりな吉行さんですが、最も変態性を感じた文豪はだれですか?
変態だと思った文豪はやっぱり川端康成ですね! いつも作品を読みながら「ちょっとそれはロリコンすぎないか」と何度もツッコミを入れてしまいます。彼の作品を読むたびに「文才がなかったら、貴方はきっと犯罪者だったよ」と心の中で呟いています。
文学が好きな人の中には、川端康成がロリコンと言われているのを聞くと、カンカンに怒る人もいます。ですが、私は読む人それぞれの解釈で読めばいいと思います。私は文学をもっと自由に読む人が増えたらいいなと考えていて、その実践としての変態文学でもあると思っています。
──吉行さんのオススメの変態文学作品を5つ教えてください
最初に挙げたいのが吉行淳之介の『暗室』ですね。これを読んで「吉行淳之介って私だったんだ!」って思って一瞬でファンになってしまいました。これは「官能」について深く考察した作品なのでとてもオススメの変態文学です。
ちなみに、私は「吉行」という苗字をペンネームにしているのですが、よく「ご子息ですか?」「隠し子ですか?」と言われますが、あまりに吉行淳之介を偏愛しすぎて、勝手に結婚しただけなんです(笑)。
また他には、
・文章が染みこんで呪いのようにまとわりつく、岡本かの子の『老妓抄』。
・最も変態なのは「この人だ!」と思わせてくれる、川端康成の『千羽鶴』。
・「生」を謳歌するための「性」と官能小説の可能性を教えてくれる、リーラセフタリの『背徳の聖女』。
・「性」の気持ち悪く不気味な部分と恐ろしく美しい部分、「ゾッとする」という言葉の二面性を併せ持つ作品の、野坂昭如『骨餓身峠死人葛』。
以上の5点が私のオススメの作品です。変態文学に興味のある方はぜひ手に取ってみてください!