ストーカー刺青おじいちゃんが100件の不在着信
――当時はどんな人生設計を考えてたんですか。
卒業したら化学メーカーに勤めて、結婚してと考えてました。
ただ就活中だった21歳の頃、アルバイトしていたコンビニでストーカーに遭ったんです。早朝に働いていたんですが、そこにくる60歳くらいのおじいちゃんがいて。土木作業の服を着ていて、そこそこ身長も高く、肌も黒くて、ちょっと悪そうな感じ。
私のことを気に入ったみたいで、いつも自分が買い物をするついでにジュースやお菓子を私に買ってくれて。優しい人だなと思って、話をするうちに仲良くなったんです。
でも、そのおじいちゃんが「地元の北海道に帰らなきゃいけないけど、寂しいから電話番号を教えて」と言ってきて。ちょっと嫌だなと思ったけど、めちゃくちゃ物をもらっているし、電話番号ぐらいいいかなと教えちゃって。
そうしたら、もう毎日100件くらい電話がかかってきて。最初は電話に出て、対応してたんですけど、そんなに出られないじゃないですか。そしたら、もう不在着信、不在着信で...。
バイト先で会うかもしれないから着信拒否するのも怖くて。店におじいちゃんが来たら、裏に隠れてたんですが、そうしたらブチぎれて「いるのわかってんだ」と暴言をめちゃくちゃ吐いたり、私が店にいない時にも「ぶち殺すぞ」と電話がかかってきたり。
――それは恐怖ですね。
「俺は〇〇組に入ってるんだ」と背中にめちゃくちゃ刺青が入ってる人の写真を見せられて、ガチでそっちの人だと思っていて、このままだと殺されると思ってました。
ストーカーが始まってから1か月くらいは我慢。でもお母さんが心配しちゃうと思ったので家族には相談できなくて。でもそういう脅迫があって耐えきれなくてお母さんに相談したら、警察へ連れて行ってくれました。
警察もすぐ対応してくれて、おじいちゃんの家に行って、接近禁止の誓約書を一筆書かせて「これ以上接近したら逮捕される可能性があるよ」と言ってもらって。それでストーカーが収まりました。それまで警察官という職業は将来の選択肢にはなかったんですけど、その出来事があって警察官っていいなと思うようになったんです。
運動もずっと好きで、警察学校はめっちゃ走らされるとも聞いていたので「鍛えられて、強くなりたい」と思って。それで卒業したタイミングで警察学校に入りました。