M-1視聴者に「みなさん榮倉奈々だと思ってない?」は正解?

昨年の『M-1グランプリ』(ABCテレビ・テレビ朝日系列)で未だにどうにも引っかかっている場面がある。

何ヶ月経っているのか。そしてもう何百人もの書き手がフライドチキンの細いあばら骨についた肉をしゃぶるくらいに書き尽くしてきたM-1で何を今更書こうというのか。そのように思われることだろう。私もそう思う。

ただ、私が気になっているのはどちらかというと本戦とは別なところで、山田邦子がショートカットの自身を紹介する際に「山田邦子ですよ。みなさん榮倉奈々だと思ってない?」と言ったシーンのことである。

ここでの「榮倉奈々」は正しかったのだろうか。それがずっと気になっている。

世間的に美人とされている人を引き合いに出して、自身とのギャップで笑いをとりにいく手法は令和的かどうかは別として古来から行われていることだ。

しかしここで比較対象として出す「世間的に美人とされている人」の正解はかなり難しい。

唯一無二の正解というのはたぶんない。
それは、客層だったりメディアだったりによって伝わり度合いが異なるからだ。

客の平均年齢が70歳くらいの寄席だったら吉永小百合が正解かもしれないし、学園祭だったら橋本環奈とかが正解なのかもしれない。

コアな声優ファンが聴くラジオと、大勢が見るテレビ番組では当然全く違うし、同じテレビでも『笑点』と『有吉の壁』(どちらも日本テレビ)では異なるだろう。

そもそもそのくらい繊細なチューニングが必要となる作業であるのに加え、独特な客層と雰囲気の『M-1グランプリ』。今回審査員として初登場の邦ちゃんがあそこで正解を出すことはそもそも難しかったのだと思う。