シングルマザー・中卒・市営住宅…永田容疑者の過去
狛江強盗殺人事件は、1月12日に起きた千葉県大網白里市のリサイクルショップの事件で逮捕された自衛官、中桐海知容疑者(23)が所持していたスマートフォンに“仕事”の発注記録が残されていたことで、千葉県警から警視庁に連絡が入り、捜査が急展開した。
そして21日に中野区の事件で逮捕された金沢市の職業不詳、永田陸人容疑者(21)のスマートフォンにも同様の記録が見つかったほか、狛江の事件で犯行現場から逃走したレンタカーの1台を永田容疑者が使っていたこともわかった。
「中野」と「狛江」の事件を結びつけることとなった永田容疑者は、なぜこの若さで凶悪犯罪の実行役を担うまでになったのか。
永田容疑者の出生地は京都市山科区。市営共同住宅で母と弟とともに育ち、中学卒業後は一人で金沢市に転居したようだ。
「永田さん一家は陸人くんがまだ保育園くらいの時に家族3人で引っ越してきたんです、お父さんらしき人は一度も見たことはありません。子供の頃からとてもかわいくてお利口で、挨拶もよくしてくれました。すぐ横にある公園で団地のうちの子達とよく遊んでました。元気な子だったけどやんちゃな感じもなくて、気さくな良い子でしたよ」(同住宅に住む70代女性)
同じ団地の住人で、永田容疑者の母親のママ友という40代女性はこう語った。
「永田さんはシングルマザーで陸人くんと年子の弟の3人暮らし。家族仲はとても良かったです。持病があって体が弱い母親に無理をさせないようにと息子たちが気を遣っていました。子供の頃の陸人くんは、大人しくて人見知りの弟とは対照的に、活発で友達も多いタイプ。ただ、通信制の高校に通っていたけど合わなかったみたいで、辞めた後は金沢で建設系の仕事をしてると母親から聞きました。『遠くに行ったけど真面目に働いてくれてすごくうれしい』と喜んでいた姿が今も思い出せます」
2年前の正月に永田容疑者が帰省した際には、久しぶりに顔を合わせたという女性はこう続ける。
「以前と変わらずきちんと挨拶してくれたので『頑張って働いてるんだってね、親孝行するんだよ』と声をかけると『わかってます。親孝行しますよ!』と元気に返してくれて、その時は本当に立派に育ったなあと思いました。病弱で働けない母親と専門学校生の弟を支えるために罪を犯してしまったのかなとも考えました……。これが贅沢や自分のための犯行なら同情の余地はないですね」
金沢市内の土木建築会社では昨年7月まで約1年間働いていたという。元同僚の一人は取材にこう答えた。
「挨拶もちゃんとするし、いつもニコニコした普通の若者という印象しかありません。土木工事の現場が主な仕事で、先輩たちも早く一人前になれるように熱心に教えていたし、彼もそれに応えるよう素直に聞いて頑張っていた。無断欠勤も1日もありませんでした。ただ『自分はこの会社には合わなかった』と突然辞めてしまいました。アパートで一人暮らしするには十分な給料はもらっていたはずなんですけどね」