すぐに行動に移してほしいとき
→盛り上がったタイミングで伝える

やらなきゃと思っていても、なかなか行動に移せないということはないでしょうか?
「やろうと思ったこと」を先送りするうちに、忘れてしまうこともあります。そうなってしまったら最後。もう、なかなか思い出すことはできません。

しかもこれが他人である場合は、いったいどうすれば行動に移してもらえるでしょうか? 
それには、気持ちが盛り上がっているときに、行動の「きっかけ」を作っておくのが効果的です。

このことを今から50年以上前に実証したのが、心理学者のハワード・レベンタール博士らでした。
博士らは、イェール大学のキャンパスで、被験者の大学生たちに破傷風のリスクに関する講演を聞かせました。その中で専門家が、今すぐ学内にある医療センターに行って、予防接種を受けるべきだと語りました。それを聞いたほとんどの学生は、予防接種を受けに行くと言いました。

しかし、実際にそのあと予防接種を受けに行った学生は、たった3%にすぎませんでした。

そこで今度は、別の学生たちに同じ講演を聞かせたあと、医療センターの場所に印をつけた地図を渡しました。さらに、翌週のスケジュールを確認させ、いつ予防接種を受けに行くかを決めるよう求めました。

すると、9倍以上、28%の学生が予防接種に行ったのです。「スケジュールや場所を確認する」ということが、行動のきっかけになったと考えられます。

このように、先に決めたことがのちの行動に大きな影響を与えることを、心理学では「先行刺激(プライミング)効果」といいます。

東京都立川市では、この効果を使って、「乳がん検診の受診率」を大幅に上げることに成功しました。

「乳がんのリスクを理解しているが、検診に行っていない人」に向けて、検診予約のメモなどを書き込む「受診計画カード」を送付したところ、受診率7.3%から25.5%へ、3倍以上に増えたのです。

こんなふうに、気持ちが盛り上がったタイミングで、次の行動につながるきっかけを与えれば、忘れる前に行動してくれる可能性がぐっと高まるでしょう。

「面倒なお願いには付箋に手書きでひと言添える」「すぐに行動にしてほしいときは盛り上がったタイミングがチャンス」… 世界中の大学の研究から明らかになった相手に届く伝え方とは_1
写真はイメージです
すべての画像を見る

<まとめ>
すぐに動いてほしいなら、
動きやすくする「きっかけ」をつくってあげよう!