母親に「もう死んどるよ」と声をかけられ、その母親も…
福岡県市西区横浜の無職、松本淳二被告(60)は昨年6月、同居していた父の博和さん(当時88)と母の満喜枝さん(同87)の首を次々に絞めて殺害、業務用冷蔵ショーケースに遺棄したとして殺人、死体遺棄罪に問われている。14日に同地裁で初公判が開かれ、被告は淡々と起訴内容を認めた。
(福岡地方裁判所 共同通信より)
被告の生育環境や犯行に至る経緯、犯行の概要は検察側の冒頭陳述に詳しい。これによると松本被告は勝手に大学を中退したことを厳しく叱責されてから父親に苦手意識や嫌悪感を抱き、以降は父親を避けるように生活。就職したり、実家の酒店を手伝った時期もあったが、30年以上無職で自宅に引きこもり、自室で好きなアニメや漫画本を楽しむ生活を続けていた。
ところが昨年初めごろから博和さんに認知症の傾向が出始め、さらに4月から満喜枝さんが腰椎骨折で約2カ月間入院したことから、嫌いな父親と自宅で二人きりの生活を送ることになった。父親が同じことを何度も尋ねたり、用事を言いつけるために自分の趣味の時間がじゃまされたことに苛立ちを募らせた松本被告は、いっそ父親が死んでくれたらという感情を抱くようになった。そして、トイレの介助を頼まれるようになったことで、その不満は頂点に達した。
犯行当日の6月20日午後6時ごろ、2階の自室でアニメのD V Dを視聴中に1階寝室にいた父親の博和さんに呼ばれ、初めてのトイレ介助を経験。同7時ごろ、再び呼ばれて2回目のトイレ介助、さらに眠りに就こうとしていた同9時過ぎ、3回目のトイレ介助に呼ばれたが、今度は父親を立たせることができなかった。
ここで博和さんが用を足すためのバケツを持ってくるよう頼んだことで、用便後の後始末までさせられることに怒りを爆発させた松本被告は殺害を決意。居間から持ち出した電気ポットのコードを首に巻いて締め上げ、博和さんを殺害した。この様子を見ていた母親に「もう死んどるよ」と声をかけられた松本被告は、口封じのために母親も同様手口で殺害、両親の殺害を隠蔽しようと二人の死体を業務用の冷蔵ショーケースに押し込んで、粘着テープで目張りをした。