エヴァとの出会いが会社のその後を決めた

エヴァ、鬼滅のフィギュアやプラモを作る壽屋が70周年! 町のおもちゃ屋が偶然と意地で世界的ホビーメーカーになれた理由_4
90年代当時の失敗を語る清水氏

その後、ガレージキット販売事業はぐんぐん成長。ホビーメーカーとしての歩みを着実に重ねつつあったが、水面下ではヒリヒリするような事態もあったそうだ。

「この時期に会社として、大きな仕事を取り逃したことがありました……。90年代初期、今は誰もが知る某国民的アニメの製品化依頼をいただいたんですが、当時は世間的な認知度が足りないと判断し、丁重にお断りしました。ですが、その作品が後に大ヒットしてしまい……。

このときの苦い経験を活かし、それ以降どんな依頼でもお受けすべしという現在まで続く方針に切り替わりました。それからしばらくして、『新世紀エヴァンゲリオン』に出会ったんです」

このエヴァンゲリオンとの出会いが壽屋の運命を大きく変えることになる。

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©カラー/Project Eva.
エヴァ、鬼滅のフィギュアやプラモを作る壽屋が70周年! 町のおもちゃ屋が偶然と意地で世界的ホビーメーカーになれた理由_6
©カラー/Project Eva.

「エヴァといえば今でこそ国民的な知名度を誇る作品ですが、当時は放送前でしたからまだ一部のアニメファンが注目しているぐらいだったと思います。弊社では先述した苦い経験がありましたので率先して依頼をお受けしました。結果、エヴァのホビー商材において先駆けとなることが出来ました。

うちからは主人公・碇シンジの乗る『エヴァンゲリオン初号機』と、人気キャラ『綾波レイ』のフィギュアを販売しましたが、アニメが人気になるにつれて、需要がどんどんうなぎ上りに。」

「失敗を経験したからこそ、運を引き寄せた」と清水氏は語る。こだわりの強いマニア層のファンをもうならせ、話題になったことで、壽屋はホビーメーカーとして次なるフェーズに入ることになる。