松本人志が「狂気と笑いのバランスが絶妙」
中嶋 準決勝までは目の肥えたお客さんが多いんです。だって、わざわざ予選を見に来るって、よぽどのお笑い好きじゃないですか。だから、スコップを持ち出したところで、その意味を察して笑ってくれるんですよ。「うわ、埋めるつもり?」って。
でも決勝のお客さんは、そこまでコアなお笑いファンではないので、きちんとツッコんだところでは笑ってくれるんですけど、そうでないところでは反応が薄い印象がありました。
本間 あそこは伊藤が「これ使え」ってスコップを差し出して、僕は「えっ?」って目を見開いて受け取るだけなんです。本当はそれで気づいて欲しいんですけどね。
――確かに、準決勝のお客さんは、笑うタイミングが本当に早かったですよね。先回りして笑ってくれている感じがしました。
本間 そういうお客さんに対しては、ツッコまない方が笑いは大きくなるんです。あそこでわざわざ僕が「埋めるつもり?」って説明したら逆に白けちゃう。そのあたりは難しいところですよね。
――わかりやすければいいというものではないんですね。
本間 2本目の『雨』も、僕が実はテレビのお天気コーナーを担当している気象予報士だということが、だんだんわかってくるところがおもしろいんですよ。「あ、折り畳み傘を差している人は気象予報士で、こっちのビチョビチョに濡れてる人は、この人の天気予報を信じて傘を持ってこなかったら雨に遭って濡れちゃった人なんだな」って。
――その関係性がわかるにつれて、笑いがこみ上げてきますもんね。
本間 あそこも決勝ではちょっとだけ言葉を足して、お客さんがより気づきやすいようにしているんです。僕らにアドバイスをくれた芸人仲間の中には、決勝のお客さん向けに、最初に気象予報士だということを言っちゃった方がいいのではと言う人もいたくらいで。
――ラウンドごとにそうした対策があるのですね。話が前後しますが、1本目のネタは470点を獲得し、その時点でトップに立ちました。あの時はどんな思いでしたか?
本間 TBSの担当ディレクターに「460点台後半を取れれば、上位3組に残れる可能性は高いと思います」って言われてたんです。なので、袖に入ったとき、互いに肘と肘をぶつけ合いましたね。海賊みたいに。「優勝あるかもしれんぞ」って。
伊藤 かなりワイルドな気分になってました。
――審査員の松本人志さんも「狂気と笑いのバランスが絶妙」だと大絶賛でした。
中嶋 実は松本さんに『バーベキュー』を見ていただくのは三度目だったんです。山−1グランプリでもやったし、偶然ライブで見ていただいたことがあって、その時にもこのネタをやっていたので。でも過去2回見ていただいた時よりも断然、よくなっていたと思います。