ファッションの仕事から執筆にシフトする覚悟を決める

「千葉に帰ってくるのは、希望に溢れていたわけではないんですよ。以前住んでいた世田谷だと家賃の負担が大きく、子育てと仕事の両立もむずかしかった。戻ってくれば、実家も頼れるから子育てをしながら働きやすくなる。前に住んでいた家も好きだったので、その時からすでに家好きというベースはあり、それを発展させられる家、土台になる家を探して、この家を見つけたんです。そして、いい建築家と出会えて納得のいくリノベーションができたことで、この家がもっと好きになれたと思っています」

地元に帰るのは、希望に溢れていたわけではなかった。小川奈緒さんがUターンして「すこやかな暮らし」を手に入れるまで【私のウェルネスを探して 小川奈緒さん 後編】_6

小川さんの最新著書『すこやかなほうへ 今とこれからの暮らし方』(集英社)の終盤に綴られているエピソードが印象的でした。千葉に引っ越してから、とあるブランドの展示会に足を運んだ帰り道、憧れの先輩や懐かしい仲間に会えて楽しかったはずなのに、どこか心がむずむずし、体にじんましんが出てしまったという話です。

「その時はファッションの仕事を減らして、著書の執筆にシフトしていこうとしている時でした。でもまだ著作も少なかったですし、毎年1冊本を出すという目標を達成できない年もあって、結果を出せていない不安や、やっぱりファッションの仕事もやったほうがいいのかもと迷いがありました。でも、その一件で、“自分がいる場所はそっちじゃない”“居場所はこっちなんだ”と決まったようにも思います。

地元に帰るのは、希望に溢れていたわけではなかった。小川奈緒さんがUターンして「すこやかな暮らし」を手に入れるまで【私のウェルネスを探して 小川奈緒さん 後編】_7

当時は、毎回自分から企画を持ち込んで出版していたんです。すごく求められていたわけでもなく、自分がやりたいことをやっていただけ。出した本もそれほどヒットするわけでもなく、次の本の声がかかるわけでもなくて、自分が選んだ道に自信がもてないわりに肩には力が入っている状態だったと思います」

娘の中学受験と更年期らしき不調を経て、仕事観が変化

仕事観を変えるきっかけになったのは、娘さんの中学受験。小学4年の半ばからの2年半、毎日修行のように娘さんの受験勉強に並走してきた時間が終わりました。その間にも本を2冊出せたことは奇跡でもあり「自分がやりたいことができているありがたさ」を痛感したとか。受験勉強期間は、ストレスと睡眠不足でずっと耳がふさがっているような「更年期かもしれない」と思う不調にも見舞われ、その時に改めて、健康であることのありがたさにも気づいたと言います。

現在娘さんは中学2年生に。著書の中では、自分でお昼ご飯を作ったり、と積極的な一面を見せてくれていますが、「言わなきゃやってくれないんです(笑)。もっと自立してほしいですね」と苦笑いします。

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今取り組んでいることのひとつが、過去のブログの再編集です。自身のブログで書いていたもの、子育てメディアのブログで書いていたもの。それを編集し直し、新たに読めるような形でリリースしていく長期のプロジェクトだそう。(12/23にリリースが決定。詳細はHPへ https://www.tabletalk.store/

「この活動も“読みたいです”というリクエストからやってみようと動き出したもの。50代って、いろいろなことがまとまりだす年齢ではあります。だけど、いい意味でこだわりがなくなった今、特に目標などは決めず、新しい風が入ってきたらそれに合わせて柔軟にやっていくだけかなと思っています」

小川奈緒さんに聞きました

心と身体のウェルネスのためにしていること

ヨガと良い睡眠
「心と体、どちらにもつながることですがヨガと良い睡眠を取ることに気をつけています。

ヨガをやり始めたのは32歳なので18年続けています。スタジオやレッスンに通っていた時期もありましたが、近年は自宅レッスン、自宅トレーニングです。『リーンボディ』というフィットネス動画配信サービスのヨガプログラムを、その日の体調に合わせてやるほか、実は2023年はRYT200というヨガインストラクターの資格取得にも挑戦します。その講座の受講も含めて、ヨガは朝やるのが基本。深呼吸すると、心が落ち着くのもいいですね。

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睡眠は、起きた時に疲れが取れて元気になっていることがベスト。長年眠りの浅さに悩まされてきましたが、アイマスクを導入するようになったら、とてもよく眠れるようになって。今愛用しているものは、内側がシルク素材で、コットンのちょうどいい重さがあって、目に心地よくフィットします。耳にかけられるので睡眠中にずれることもなく使いやすいです。就寝は毎日11時ごろ、起きるのは5時半です。睡眠を1日のスタートと考えるようになってから、より大切にするようになりました」

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撮影/高村瑞穂 取材・文/武田由紀子

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