国内リーグだけに留まる理由はない
「20年後に名実ともに世界一のスポーツチームへ」
今季、そんな目標を掲げた横浜DeNAベイスターズ。野球人口の減少や、日米間でのチーム力や経済力の格差、さらには日本の野球界が100年後も繁栄するために、横浜DeNAベイスターズがその先頭に立っていくと木村洋太球団社長は話す。
「例えば、おぼろげに『世界一のスポーツチームはどこ?』と訊かれたら、なんと答えますか? MLBのニューヨーク・ヤンキースだったり、リーガ・エスパニョーラのFCバルセロナなどが思い浮かぶでしょう。そういうラインナップにDeNAベイスターズも名を連ねるには、いったい何をすればいいのか。まずはそれを考えなければいけないと考えています」
その具体的な方法論について、木村社長は「極端な話ですが」と前置きしてこう続ける。
「仮にMLBがエクスパンションをする機会があったら、手を挙げるというアイデアがあってもいい。そこでベイスターズというチームを作れたら世界一に近づくかもしれない。あるいは他国のサッカーチームにベイスターズという名前を付けて、チャンピオンズリーグを戦うことができたら世界的な評価が高まるかもしれない。荒唐無稽と思われるかもしれませんが、日本の球団だから日本の国内リーグで閉じてやっていこう――そんな固定観念は、我々には必要ありません。自由な発想で最終的に世界一にたどり着く方法を考え、チャレンジし、実現していく。そのために20年という時間を設定しているわけです」
DeNAベイスターズで特徴的なのは、こうしたミッションやビジョンを球団だけなく、現場の選手たちとも共有していることだ。
球団創設以来、沖縄県で行われている春季キャンプ前日の全体会議では毎年、これらを現場のチーム関係者や選手たちにも説明し、共有する時間をとっている。
「選手だからビジネスのことは関係ないとか、ビジネスの担当だから選手たちのサポートはしないという話でなく、両者が対等な関係で一緒にやっていくことが何より重要だと思っています。例えばファンサービスひとつとっても、選手が球団のミッションやビジョンをわかっていれば、なぜ協力をお願いされているかが理解しやすいと思うんです」
「実際にこの10年で『ここはもっとこうした方が面白いですよ』とアイデアを出してくれる選手も増えてきました。このことは非常に誇らしいですし、DeNAベイスターズならではの文化だと思っています」
「事業」と「チーム」、このふたつが両輪となり同じ方向を向くことで、組織はよりダイナミックに推進していく。