「スター」と「アクター」では尽くす場所が違う
私生活のスキャンダルで注目を集めることも多いジョニーですが、仕事でお会いするときの彼は、すごくシャイなの。人の目を真正面から見られないし、アグレッシブなタイプとはまったく違いますね。
通訳をしていて印象的だったのは、周りがチヤホヤすると、ちょっとムッとした感じで「I’m a not star. I’m an actor」と口癖のように言っていたこと。
例えばトム・クルーズのようなスターは、撮影からキャンペーンまで全部に積極的に関わるけど、ジョニーにとって興味があるのはカメラの前で演技をすることだけ。作品に尽くすという意味ではどちらも責任を持っているし、プロフェッショナルですけど、尽くす場所が「スター」と「アクター」では違うのね。
キャンペーンで来日したジョニーが、完成した出演作を見ていないことを知って、びっくりしたこともありました(笑)。
作品で印象的だったのは『シザーハンズ』(1990)。とんでもないイマジネーションを持っているティム・バートン監督の究極の世界観に、見事にハマっていたわよね。
ジョニーが演じたエドワードは、手がハサミの人造人間だけど、すごく心情が伝わってくるから切なくて。インパクトがある見た目とは違う、孤独な内面を目の演技で表現していたのはさすがです。忘れられない、いい映画でした。