目標は2026年ミラノ・コルティナダンペッツォオリンピック。
ゼロからの挑戦を楽しみたい
――さっそくヨーロッパ転戦がスタートしているそうですね。
まずはワールドカップのひとつ下のカテゴリーであるヨーロッパカップを中心に転戦する予定ですので、23年の3月頃まではおそらく行きっぱなしになると思います。最初はスイス・ザースフェーのスキー場を拠点にしながら、その後にオーストリアに拠点を移す予定です。
――長期間の遠征になるとその間のオン・オフの切り替えがとても大事になると思います。ヨーロッパ生活に慣れている新井選手だからこその、現地でのスキー以外の楽しみとは?
現地に住んでいた頃から馴染みのカフェでお茶をしたり、週末に友人の家に遊びに行ったり、時間に余裕があればイタリアまで足を伸ばして買い物をしたり、というのが自分なりのリラックス方法になっていたので、またそういうふうに過ごしたいですね。
――新しい挑戦に、これまでアルペン競技で培ってきた経験やスキルをどのように活かせると思いますか?
スキークロス独自の動きであるジャンプやスタート、レース戦略の部分を詰めていけば通用する自信はあります。特に女子選手は世界的にまだそれほど多くなく、選手間のレベルも拮抗しているのでここからスキルアップしていけば十分に上をめざせると思っています。
――となると、当面の目標は……
もちろん4年後の「ミラノ・コルティナ」です。
――やはり、「オリンピックに出てメダルを獲りたい」という思いがスキークロス転向のいちばんの決め手になったわけですね。
そう言えると思います。オーストリアに留学した頃からオリンピックが最も大きな目標で、そこに出られなかったことがアルペン選手としていちばんの心残りでしたから、こうして心機一転、違う種目でもう一度オリンピックをめざしてスタートを切れることに喜びを感じています。
――スキークロス選手としてのデビューイヤーを、どんなシーズンにしたいですか?
今季の目標は、ヨーロッパカップ転戦で経験を積みながらとにかく怪我をせずにシーズンを戦い抜くこと。その中でスキークロスという種目がどういうものかをしっかりと体感し、その後のワールドカップやオリンピックへのステップアップに繋げていきたいです。
――最後に、今回のスキークロス転向はこれまでのキャリアの延長線上にあるという考えですか? それとも全く新しいチャレンジという感覚ですか?
最初は同じスキーの中でただ種目が変わるというマインドでしたけれど、今ではアルペンから完全に頭が切り離されて新しい人生のスタートという感覚になっています。一から、というよりゼロから自分のスキーというものを作り上げていきたいですね。
取材・文/徳原海 撮影/猪原悠 スタイリング/伊藤あかり ヘア&メイク/榎田茉希