小説や映画の賞への興味

──評価と言えば、小説や映画の賞にご興味はありますか?

賞そのものというよりは、賞を取ることで手に取ってくれる人が増えるので、そういう意味で欲しいなとは思います。簡単に言うと宣伝効果ですよね。

──『浅草キッド』はNetflixの作品だから、日本アカデミー賞では審査の対象外ですよね。ひとりさんがゲスト出演された『爆笑問題カーボーイ』で太田さんが問題提起されていましたが。

でもそれは企画段階で言われていたことだから。「賞レースには絡めないけどいいですか?」って。その時は撮れるだけでも御の字だったので、何も思わなかったですけどね。

──『浅草キッド』の企画は何社にも持ち込んで、最後にNetflixに決まったという話ですが、途中で挫折しそうになりませんでしたか?

これは偶然の要素が大きくて。辛抱強く耐えたと言うよりは、たまたまそうなったというか。ちょうどよくたらい回しになって、最終的には日活にいたプロデューサーがNetflixにヘッドハンティングされて、そういう流れで決まったので。

でも本当に、最初に自分の中でぽっと湧き出た「『浅草キッド』を映画にしたい」という思いがすべてで、そこから脚本を書き始めて。覚えてるんです。事務所の人間に「『浅草キッド』を映画にしたい」って相談した日のこと。あれを言わなかったら、こういう流れにはならなかったなって。その時点で脚本も上がってたから、それで動いてもらったんですけど。

結局、自分からやらないと何も始まらないということですね。だから、誰に頼まれたわけじゃないけど脚本を書き始めた時のことは、自分を自分で褒めたい瞬間だったかもしれない。よくやったなって思います。

──テレビの仕事や家庭のことで既に十分忙しい中で。

それが例の勝手な使命感ってやつですよね。そこにつながるけど、忙しくてもなんとかやらなきゃって思いがあった。そこまで思い込めるかどうかですよね。でももし『浅草キッド』をやってなかったら、逆にもっといい作品と出会えていたかもしれない。そういう可能性だってありますからね。だからよかったのかよくなかったのか、結果はわからないけど、自分は間違いなくやりたかったわけだから。