コロナ禍の3年間で改めて思った日常の幸せ

<最新写真集発売・広末涼子独占>「いい笑顔をしてるってことと(笑)、印刷される写真の贅沢感を思い出させてもらいました」_3

インタビュー現場での広末涼子さんもまた、よく笑う人だ。快活で、明瞭で、質問から自己の言葉を紡ぐまでのストロークがかなり短かったりする。

つまり、回答に悩んだり、言葉に詰まることがほぼないのだけれど、ただひとつだけ「広末涼子にとってのふつうとは?」という質問に対しては、かなりの時間をかけて、自分の本当の気持ちを探るように考えていた。

たしかに、ふつうって、本当は難しい。

ふつうということ。ふつうの日常、当たり前のこと。ふつうってなんなのだろう?
 
写真集『C'est la Vie』の制作がスタートした2020年夏から発売まで約2年半の月日もまた、私たちの誰もが〝ふつうとはなんぞや?〟という自問自答を繰り返した時間でもあった。女優であると同時に母でもある広末涼子さんにとってのコロナ禍の記憶は、どのようなものとして残されているのだろうか。

「役者という仕事の性質かもしれませんが、日常への感謝みたいなものはコロナ禍よりも前から実感はしていたんです。役を通じて人の死に立ち会ったり、自分の余命を考えたり、非日常な経験をしたり。演じることで、通常の人生では何度もない体験をさせてもらっているので、日常に帰った時にすごくありがたいというか。

物語のなかでその人の人生のピークを演じさせてもらっているから、なにげない日常をより感じられるんでしょうね。仕事から家に戻って子どもの寝顔を見て涙が出ることはしょっちゅうありました。

今回のコロナ禍では、こんなにも長い時間を家族と離れずにすごせたことが人生のなかではじめてだったので、本当にいい時間をもらえたと感じました。時間に追われないこと、仕事に追われないこと、それだけでこんなにできることがあるんだと。

もちろん、仕事の面では先が見えない不安な時期ではありました。その頃の役者仲間との会話で一番印象的だったのは、『生身の人間の無力さを感じるね』という言葉でした。

それでも私は、やっぱり、いい時間をもらえたと思うんです。日常というものが、こんなにも幸せなんだってことに、立ち止まらないと気づけなかったと思います」