なぜ抜け出せないのか?
–––––沼にズッポリはまっている人は、なぜ抜け出せないんでしょうか?
仕事がうまくいってなかったり、夢中になる仕事がない人が沼から抜け出せない傾向にあるかもしれません。誰しも20代で一度は仕事で失敗して、大恥をかいたりするじゃないですか。でも、そこから立ち上がる経験をしたり、問題を解決することで、ドーパミンが出て、意欲へとつながる幸福感を会得できるんですよ。
でも、そういったことをやらずに逃げてしまうと、仕事が面白くないまま終わってしまう。そうなると依存できる何か、愛せるもの、あるいは自分を愛してくれるものを探すんです。それが抜け出せない原因です。
また、沼って、お金さえあれば、また行けちゃうんですよね(笑)。だから抜け出しにくい。逆に、はまっている対象に近寄ることができなければ、忘れることはできる。例えば、アイドルファンはアイドルが引退すれば、その“押し沼”からはすぐに抜け出せます。もう会えないのだからそうせざるを得ない。
失恋もだいたいそのくらいで立ち直るじゃないですか(笑)。人間の細胞って入れ替わるのがだいたい3ヵ月くらいなので、その間一切それに触れなければ抜け出せると思います。
–––––そういう人は仕事だけでなく、やはり人間関係にも困ってそうですね……。
実は沼から抜け出せない人は、表面上、人間関係はうまくやっています。今はちょっとでも怒ったり、機嫌悪くすると、ハブられたり(無視されたり)しちゃいますよね。そこは空気を読む。日常生活では当たり障りなく過ごしています。“素の顔”と“外の顔”で使い分けているんでしょうね。
–––––沼にはまるにあたって気をつけておくことはありますか?
基本的に自分の中で楽しければOKですが、とにかくお金には気をつけて欲しいですね。“マッチングアプリ沼”や“ホスト沼”は、ネットワークビジネスに絡んでくることもあるので注意してください。
それから相手にいい顔をしないことです。“コスメ沼”にはまっていた女性は、お気にいりのBA(ビューティーアドバイザー、デパートの美容部員)さんを成績トップにしたいと、興味もない、無駄なコスメ商品を大量に買っていました。化粧品を愛することと、相手にいい顔をすることは別のことです。ついつい自分の気持ちを勘違いして、本来の動機を見失わないように気をつけたいものです。
取材・文/集英社オンライン編集部