「日曜劇場」だけでなく恋愛枠「火曜ドラマ」も凋落ぎみ

一大ムーブメントを巻き起こした『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年)を筆頭に、『恋はつづくよどこまでも』(2020年)、『私の家政夫ナギサさん』(2020年)といった恋愛ドラマのヒット作を量産していたTBSの火曜22時枠「火曜ドラマ」も今年は大苦戦。

「月9」に代わって恋愛ドラマ枠の強力ブランドとして定着するかと思いきや、「日曜劇場」同様、今年の4作品の初回視聴率は右肩下がりなのだ。

≪2022年「火曜ドラマ」作品/初回の世帯平均視聴率≫
1月期『ファイトソング』9.2%
4月期『持続可能な恋ですか?〜父と娘の結婚行進曲〜』8.9%
7月期『ユニコーンに乗って』8.7%
10月期『君の花になる』6.5%

いくら視聴率至上主義時代が終焉したとはいえ、4作品とも全て一桁スタートではブランディングが上手くいっているとは言い難い。しかも8~9%台で踏みとどまっているならまだしも、現在放送中の『君の花になる』は6%台スタートで、その後の視聴率もかんばしくない。

リアルタイム視聴がもう時代に即していないという意見があるのはわかる。実際、現在フジテレビで放送中の恋愛ドラマ『silent』は、世帯平均視聴率は5~7%台をうろうろしているものの、TVerの見逃し配信再生数の歴代最高記録を樹立しており、今クール1の話題作となっているからだ。

ただ、そんな『silent』のTVerのお気に入り登録者数が236.3万人(11月29日現在、以下同)に対して、『君の花になる』は43.7万人と5分の1以下、『アトムの童』は67.5万と3分の1以下と大きく引き離されている。視聴率以外のデータでもブランド力の低下は明らかなのである。

――『半沢直樹』や『逃げるは恥だが役に立つ』のように、日本中が沸き立つほどの作品でブームを生み出し、その後、近い時期に何作かヒットをぽんぽんっと打てればその枠のブランド力は一気に高まる。しかし、しばらく当たりを出せずに不発作が続くと、求心力がどんどんしぼんでいってしまうことも……。

ドラマ枠のブランディングは容易ではないのだ。


文/堺屋大地