まるで「甲子園」のAJCC

各種カリキュラムだけでなく、ハンバーガー大学が開催する「ALL JAPAN CREW CONTEST」(以下、AJCC)も、ハンバーガー大学を憧れの場たらしめる取り組みの一つだ。

AJCCは、日本マクドナルドが1977年から開催している技能コンテスト。約20万人の店舗クルー(アルバイトが対象)の技術とサービスの向上、モチベーションの向上を図るために開催されている。

世界でたった8カ所。全クルーの憧れの地・マクドナルド「ハンバーガー大学」の講義を受けてみた_9
年に一度開催されるマクドナルドの技能コンテスト「ALL JAPAN CREW CONTEST」

競い合うのは「アッセンブラー」「ポテトパーソン」「デリバリーオーダーテイカー」「グリルストッカー」などの種目。かいつまんで説明すれば、たとえば「いかに美しいハンバーガーを作るか」といったポイントで審査される。

クルーの所属店舗で行われる「店内戦」を経て、「法人/直営ミニマーケット戦」「ミニブロック戦」「地区本部代表戦」「全国戦」と転戦。全国戦では約50名程度で競い合い、日本の頂点を決定することになる。

2021年は限定公開のYouTubeライブで授賞式が行われた。その様子を特別に視聴させてもらうと、ノミネートされたクルーがそれぞれ、各店舗の控室などで待機。背景にはまるで甲子園出場校を応援するかのような飾り付けがなされ、祈るように発表を待つ姿があった。

優勝者が発表されると、画面外から店舗の仲間が飛び込んできて抱き合って喜ぶ。甲子園にたとえたことが言い過ぎではないくらい、店舗やクルーにとっては人生の一大イベントであることが窺えた。

これは前述したようにアルバイト向けのイベントだが、まさに吉田さんが言うように、ブランドの使命を、アルバイトを含む全クルーに浸透させるための試みであるとも言える。

日本では、年間約1.5万人がハンバーガー大学のコースを受講しているそう。世界中の誰もが知るメガブランドは、このような異例の規模といえる従業員教育機関により、長く維持されているのだ。

世界でたった8カ所。全クルーの憧れの地・マクドナルド「ハンバーガー大学」の講義を受けてみた_10
キャンバス内に設置されたタブレットでは、店舗レジの操作や商品の調理手順などが学べる

文/あまのなお