無人機のセールスに利用も

今回の無人機飛来については、中国広東省珠海で11月8日から13日まで、中国政府が主催する2年ぶりの「国際航空宇宙博覧会」が開かれていたことも関係があるかもしれない。

この博覧会は国内外の軍関係者やサプライヤーが集うことで知られ、中国自慢の第5世代ステルス戦闘機「J-20」による編隊飛行などが披露されて世界の耳目を集めた。

この場で中国がひときわ熱心に売り込みをかけたのが新型無人機だ。ラインナップも豊富で、たとえば米国の無人機MQ-1「グレイイーグル」とほぼ同等の性能を持つとされる「翼竜1E」は高度1万mを飛行し、その滞空時間は35〜45時間、航続距離も7500kmを誇る。システムも大幅に向上し、自律飛行の精度が高まり、AIによる目標の識別機能も持つ。

また、偵察と攻撃を兼ね備える「翼竜3」は最大積載量(ペイロード)が2300kgもあり、機体の9箇所にさまざまなミサイルを積むことできるだけでなく、通信衛星のデータリンクで少なくとも半径3000kmにわたって通信・制御が可能となっている。

中国の「国際航空宇宙博覧会」で展示された「翼竜3」 写真/央视军事
中国の「国際航空宇宙博覧会」で展示された「翼竜3」 写真/央视军事

大型無人機「翼竜10-B」も高スペックだ。ターボファンのジェットエンジンを備え、高度1万2500kmを時速650kmで飛行し、空対空、空対地ミサイルを搭載することができる。その性能は米軍の持つ大型無人偵察機RQ-4「グローバルホーク」に匹敵するとされているほどだ。

こうした売り出し中の無人機の性能と実績を各国の駐在武官にアピールしようと、中国軍が日本周辺に無人機を飛ばした可能性があるのだ。