W杯では日本代表初の逆転勝利
さて、少々前置きが長くなったが、日本代表の歴史的勝利である。
現在ワールドカップに出場している日本代表が、グループリーグ初戦でドイツを2-1と下すという衝撃の番狂わせを演じた。
しかも、圧倒的な劣勢が長く続くなか、先制点を許しながらの逆転勝ちは、ハラハラドキドキの試合展開も含めて極上のエンターテインメントだった。
日本代表は4年前の前回大会までにワールドカップで5勝を挙げているが、逆転勝利はこれが初めて。また、ワールドカップ優勝経験国を下すのも、初めてのことである。
とはいえ、この勝利が単なる記録以上に意義深いものに感じられるのは、それがドイツから挙げたものであったからだ。
冒頭にも記したように、日本代表は、というより、日本サッカーはドイツから多くの学びを得て、ここまで成長してきた。
そして現在、日本代表メンバー26人のなかには、キャプテンの吉田麻也をはじめ、遠藤航、鎌田大地ら、ドイツのクラブに所属する選手が8人も選ばれている。所属クラブの国別では最多の人数だ。
日本がドイツを知り、ドイツから学ぶ。その関係は、クラマー氏の来日から半世紀以上経過した今、一歩進んだ形で続いている。
ドイツ戦前日には、日本代表の森保一監督もこんなことを話している。
「日本サッカーにとって、クラマーさんは偉大な指導者。東京五輪、メキシコ五輪で日本サッカーの発展に貢献していただいた。その他にも、すばらしい指導者、選手がドイツから日本に来てくれた。ドイツのみなさんには感謝を申し上げたい。
ワールドカップでチャンピオンになったことのあるドイツは、常に学びの手本となる存在だった。それは今も変わらない。ドイツから学びながら、日本らしく、日本のよさを持って、世界に追いつき追い越せで戦っている。明日の試合も今のベストをぶつけられるよう、戦いに挑めればと思う」