悲しみから怒りへ、ロスを受け入れるまでの道程

そんな悲しみの中をどう過ごせばいいのだろうか?

「一般的な見解になってしまいますが、まずは1~2ヵ月アイドル断ちをするのはどうでしょうか。その後あらためて目にすると、少し俯瞰=引いた状態で見ることができます。

冷静になって見てみると、これまで見えなかったものが見えてくるものです。
例えば、ライブDVDを見て、それまでは推しのアイドル自身にしか関心がなかったのに、ふと彼らが身に付けていた衣装にも目が行くようになり、衣装作家さんの仕事っぷりに関心を持ったり。これまでと違う視点で見ることができるようにもなるでしょう」

今回のような事態を受けて、当然、悲しむファンが多いが、ネットでは怒りを隠さないファンもやはり目立つ。

「怒りの矛先はネット上での誹謗中傷となって現れる傾向があります。推しの脱退や引退の騒動の裏には必ず要因があるのですが、そのことを想像できないので冷静さを失い、脱退や引退のきっかけを作った犯人探しを始めるのです。

SNSは負の意見が負を呼び込むもの。自分と同じ意見を書いている人を見つけ、同調し、リプライなどをつけ、書き込みなどをしていくうちに、過激な意見を発信してしまうこともあります。

また、想像で脱退や引退のきっかけとなった犯人を一方的に決めつけて制裁を加えているうちに、ゆがんだ正義感を振りかざし一刀両断するようになりがちです。それではまるでコロナ警察と同じです。そうなってしまうと本来の目的が何だか分からなくなってしまったり……。

過去にも尾崎豊さんが亡くなったときは、奥さんが随分と責められたり、三浦春馬さんのときも母親が悪く言われた。仮想の敵というか、怒りをぶつける相手=犯人が必要なんでしょう」