契約時に「鍵は誰が持っているのか」を確認する
――「自分以外の誰かが、自分の部屋の鍵を持っている」ことを知らない人も多いのではないでしょうか。
私の経験上、およそ8割の借主がご存知ではありません。賃貸契約を結ぶときには必ず、仲介会社の宅地建物取引士から「重要事項説明」を受けることが法令で決まっています。
その際に、「鍵を失くしたり、取り換えたりした場合は家主もしくは管理会社に速やかに連絡をし、新規の鍵を1本渡すこと」などと伝えられる場合は、「家主や管理会社も鍵を持っている・管理している」ということです。賃貸契約書にも明記されています。
しかし、そうした説明の際に、「あなたの部屋の鍵は、家主や管理会社も持っているのですよ」と話してくれることはほとんどないでしょう。「入居者がぎょっとするかもしれない表現で、わざわざ強調して告げることではない」と考えられているのが現実です。
――借主としては、他人に鍵を所有してほしくないでしょう。借主が契約時に鍵について自分でできることはありますか。
新しく賃貸住宅に入居する際には、契約前に、仲介の不動産会社や管理会社、家主のいずれかに、「鍵を交換しているか」ということと、「鍵は誰が所有しているのか」を確認してください。防犯や鍵の管理の意識が高いことを伝えるいい機会にもなるでしょう。
「家主らが合鍵を持つ」という返事で、それを避けたい場合は、「自己責任で自分で所有するので、他人による合鍵の保有は避けてほしい」と仲介の不動産会社に折衝をしてみてもいいでしょう。そういう借主の方も増えています。
また、住居の鍵の交換ではおもに、1個のシリンダーに3本の鍵がセットされています。家主の多くは、そのうちの2本を借主に渡し、残りの1本を自分か管理会社で保有します。
家主が保有しない場合は、3本とも借主に渡されます。ただその場合でも、借主に渡す前に合鍵を作ってそれを家主らが保有しているという可能性は残ります。