チーム・ケルンの分析を活かした
マッツ・フンメルス(元ドイツ代表)

――そのような細い分析のデータを、選手は試合前にチェックするのでしょうか?

代表チームが所有しているiPadの中に「分析用のアプリ」が入っていて、そこには対戦相手のフォーメーションが選手の顔付きで表示されています。画面から選手を選ぶと、たとえば「クロスに対する守備対応」という特徴が確認でき、そこを押すと実際のプレー映像が観られる、という仕組みです。

以前、元ドイツ代表のマッツ・フンメルス(ドルトムント所属)がインタビューでチーム・ケルンについて語っていたのですが、彼は試合前にiPadで分析映像をしっかりチェックしているそうです。

ある試合で、ドイツ代表がカウンター攻撃を受け、センターバックのフンメルスとボールを持った相手選手が1対1になり、ドリブルで抜かれたら残っているのはキーパーのみ、という危険な状況がありました。その場面でフンメルスは相手選手のドリブルを読み切り、ボールを取ってピンチを未然に防ぎました。

そのシーンを振り返りながら、「事前にもらったチーム・ケルンの分析によって、相手がどっちに抜きに来るかを、俺は既に知っていたんだ」ということをフンメルスは言っていました。
リップサービスの部分もあるとは思いますが、このように個人分析が実際の試合で役立つケースもあります。逆にそういうデータは気にせずに、頭を空っぽにして試合に臨みたい選手もいると思いますが。

いずれにしても、選手たちが「取捨選択できる状況」を作り、チームが勝つ可能性を少しでも上げるために、チーム・ケルンの個人分析が必要とされているのかな、とは思います。