プロの俳優と仕事をして思ったのは、いい役者とカメラがあれば映画はできるということ
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──なるほど、だからか、青木さんは本格的な真庭弁を話されている印象を受けました。真庭で普通に暮らす人々と、プロの俳優のたたずまいをなじませるコツは?
「山吹役の祷キララさん、刑事役の川瀬さん、三浦さんはじめ、みなさん、俳優としての色んな経験値があって、この場所でこの役を演じるということはどういうことなのか十分に分かっていると思うんです。お互い芝居が始まったら、互いの演技が伝播していって、監督なんかいなくても、役者とカメラがあれば、多分映画っていうのはできちゃうんだろうなって思います。本当に良い経験ができました」
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できる限りのアゲンスト、それが山吹のサイレントスタンディング
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──『やまぶき』は群像劇ですけど、主人公が二人いるとも言えて、一人は祷キララさん演じる高校生の山吹。彼女は街角である日を契機に、サイレントスタンディングに参加しだすのですが、最初はその理由がわからない。サイレントスタンディングとは「無言の抗議」と言われていますが、この主題を取り上げたのは?
「サイレントスタンディングについては頭で捻り出して描いたわけじゃなくて、実際に、映画の中のあの場所でずっとやっている人達がいるから、できた場面なんです。実際、そこでの活動を見て、僕自身参加してみて、『あ、こういう気持ちで、定期的にここに立って、このメッセージを掲げているんだな』と実感できたし、そこに静かに立っている人たちがどういうメッセージを持ってあの交差点に立っているのか、いろんな感動的な話も聞かせてもらって、作品にとり込んでいます。
一方、サイレントスタンディングという行為は声を出さない静かな抗議といっても、誰かに対して抗議するという点で危うさもはらむ。保守的な田舎で抗議をするということは覚悟も必要だし特別な意味を持ちます。そこにある緊張感を表現できればいいなと考えていました。山吹にはサイレントスタンディングをせざるを得ない切実な思いがあります。ただ立っているだけで何が変わるんだろうと皆さん思うだろうけど、この映画の終盤、ある人物が山吹に『そんなことして、何か変わるんですか?』と質問しますが、そうやって問いかける行為で、すでに何か一歩、変わっているんですよね」
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居酒屋での雑談がラッキーを呼び込み、ヒロインがその場で決定!
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──山吹役の祷さんは子役から活躍されていますが、オーディションですか?
「実をいうと、立ち飲み屋で決まったみたいな」
──居酒屋で?
「子役の頃から見てきて、すごい優秀で、映画に愛されている俳優というイメージはあったので、頭のどこかで山吹をやってくれればとってもいいなと思いながらオーディションをやっていたんですね。実際、そこに来てくれた人たちの中にも、この人ならできそうだなと思う人がいたんですけど、ちょうど、大阪の立ち飲み屋さんでたまたま会った映画のスタッフと話しているときそのスタッフが『お父さん、知ってますよ』と」
──なんと。
「近いから来るんちゃうみたいな感じで電話かけてくれたら、本当にお父さんが来られたんです。で、こういう企画があり、主役のイメージがキララさんにぴったりだと話すと、『あ、じゃあ、電話します』ってその場で彼女に電話してくれて」
──そんなすごい偶然ってありますか(笑)?
「そしたらキララさんがその場で『やりたいです』って言ってくれて。ほぼそれで決まったんです」
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