オープンワールドゲームシステムで
世界に衝撃を与えた『GTA3』
1997年の1作目と1999年の2作目は2Dスタイルだったが、3作目『GTA3』からは3D化とオープンワールドゲームのスタイルを取り入れ、大ヒットを記録した。
「プレイヤーがマップを自由に動き回りながら、その中でさまざまなミッションをこなしていくオープンワールドゲームというのは、我々が生きている現実世界に近い構造なので、没入感が強くなるのが特徴ですね。
なかでも『GTA3』は、暴れ放題できてストレス発散になるアナーキーなゲーム内容と、オープンワールドゲームの自由度が合致したのが受けたのでしょう。とはいえ、こうした過激さは一部で批判もあり、『GTA3』は2005年に神奈川県児童福祉審議会から有害図書類指定を受けてしまいました」
開発元のロックスター・ゲームスがこうしたバイオレンスでアナーキーな要素を強く取り入れたのは、ギャング・マフィア映画の大ファンだからだそうだ。
「彼らは事務所に日本映画の『仁義なき戦い』のポスターを飾るほど、こうした映画に造詣が深いようです。これまで映画やドラマでは数多く描かれてきたアンダーグラウンド世界を、ゲーム業界でも真正面から描きたかったのでしょう」
5作目『GTA5』はシリーズ最大のヒット作であり“24時間で最も売れたビデオゲーム”、など合計7つものギネス世界記録を樹立。全世界での累計発売本数は1億6000万本にも到達した。シリーズでも『GTA5』が抜きん出て評価された理由はどこなのか。
「一番はキャラクター造形ですね。本作はマイケル、フランクリン、トレバーという3人の主人公を切り替えながら操作する斬新な群像劇スタイルでした。なかでも本作のアイコンとも言えるトレバーは身なりもボロボロの最下層民というキャラクターで、私は彼に心を射抜かれましたね。
トレバーは、シリーズをプレイしてきた人がやってきた極悪非道な行為を擬人化したような、およそ主人公にはふさわしくない設定のキャラクターなのですが、ロックスター・ゲームスに『お前らこれまで散々暴れてきたんだから、トレバーの性格くらい問題ないだろ?』と頬を叩かれているような気さえします。
自分なりの哲学に準ずるストイックさや、仲間を決して裏切らない義理堅さなど、憎めない性格が垣間見えてくるのもかわいいんですよね(笑)」