山ばかり走ってきたから、新鮮に感じられた甲府盆地の平原
国道20号に乗って甲府盆地をひた走り、甲府市を通過して笛吹市に入った。
笛吹市には、石和温泉がある。
前日に行った岐阜県の下呂とは違い、石和は歴史の浅い温泉だ。
1956年に農場の敷地内をボーリングしたら、40℃以上の温泉が湧出。
そこから各種施設を整えて、1960年代以降に発展した温泉街なのだそうだ。
スマホで日帰り温泉施設を検索し、一番近くにあった「紅薔薇温泉みさかの湯」に赴く。
温泉街の中心から少し外れているが、そもそも歴史の浅い石和温泉は街並みの情緒は乏しいらしいので、ここで十分だ。
市営の施設らしく、受付もお風呂も市民プールのような雰囲気だったが、清潔感があって悪くはない。
泉質はサラサラ透明で、ややぬるめのお湯だった。
入浴後はさらに国道20号を東へ駆け抜け、ブドウとワインの名産地と知られる勝沼市に到達した。
それにしても今日ひたすら走ってきた甲府盆地は、実に真っ平で広い。
昨日までいた木曽路や飛騨路とは打って変わり、遠くの四方を山に囲まれながらどこまでも続く平野の風景は新鮮に感じた。
勝沼は、そんな甲府盆地の東の壁に当たる山裾の街。
着いたときにはもう日が暮れてしまっていたが、坂の上から見下ろす市街地の夜景が綺麗だった。
小高い坂の上に建つJR中央本線の「勝沼ぶどう郷駅」は可愛らしく、まるで夢の中の駅みたいな感じだ。
当初、頭の中にあった予定では勝沼を観光するつもりはなかったのだが、ここを素通りするのは惜しくなってきた。
明日の朝、明るいうちにもう一度ゆっくりと市内を巡ってみよう。
そう考えてこの日は、至近の道の駅甲斐大和に車をとめ、明日のために休憩・仮眠することにした。
撮影・文/佐藤誠二朗