幼児期と思春期以降では、
保護者が抱く“性の悩み”の種類が変わる
――宮原さんご自身が考える、「この年までに性のことを伝えてほしい」と思うボーダーの年齢はありますか?
「ご家庭にもよりますが、先入観なく性の話を聞いてくれるのは、だいたい小学校中学年ごろかなと感じます。子どもにもよるので“壁”があるとは言えませんが、小学4年生の体のことに関する授業では、子どもたちは素直に聞いていることが多いようなので、この辺までが話しやすいタイミングだと思います。
私たちが運営している性教育情報サイト『命育』には、毎日多くの保護者から子供の性教育についてのお悩みが寄せられます。その悩みの内容からも、その傾向は感じます」
――具体的にはどういったことでしょうか。
「幼児期では『子どもの質問に咄嗟にどう答えたらよいかわからない』『プライベートゾーンの教え方』といった相談、小学校低学年〜中学年まではジェンダーについての基本的な話や、男女の体の違いについての質問にどう答えたらよいかなどですね。
ここまでの年齢の保護者の場合、子どものために学びたい、伝えたいという動機で質問される方が多いです。
それが、小学校高学年以降になるとガラッと変わり、『実際にこんなことが起きてしまいましたがどうしたらいいでしょうか』という質問が増えてきます。トラブルが起きてからの対処法を求めにサイトへいらっしゃる方がぐっと多くなるんです」
――どういったお悩みやトラブルがあるのでしょうか。
「私たちに届く悩みとして、被害よりも子どもが加害をしてしまったという悩みや、スマホでアダルトコンテンツを見ていたというケースが多いですね。あとは、お子さんが不特定多数と性関係をもっていたという相談も。
時間を争う内容や、私たちで対応しきれない重大な悩みについては、専門機関をご案内するなどの対応をします。
これらのケースの根本的な問題は、『関係を築いていなかったのに、今さら親子で性の話なんてできない』ということ。
だからこそ、児童期くらいまでに日頃から性の話をしておき、困ったときに話しやすい関係、子どもからのヘルプを感じ取れるようにするなど、会話の土台をつくることが大切です」