より写実的・映画的なレイアウトを目指した
――プロデューサーとして本作で特にこだわっているポイントは?
「全部」と言いたいところですが、僕や中山監督が、特に細かく見ているのは「画面の設計」です。どういう雰囲気や見栄えの映像なのかにはすごくこだわっています。
――本作ではどのような「画面の設計」を目指したのでしょうか?
『チェンソーマン』の「画面の設計」では、より写実的・映画的なレイアウトを目指しています。アニメの制作が決まって最初に話し合った、かねてからの構想です。
――最後に、これほどまでMAPPAの気合いが込められた本作が、アニメ業界にとってどのような影響をもたらすと考えているか、瀬下さんの見解をお聞かせください。
現場の当事者としては、『チェンソーマン』に限らず弊社が担当した作品はどれも気合いを込めて大切につくっています。なので“『チェンソーマン』だから”という考えはありません。
その前提を踏まえ、僕の意思として本作から伝わればいいなと思っているのは「“最も良い形の映像化を本気で目指すこと”がビジネス側の観点からも視聴者側の観点からもいい」ということ。そして、「映像をつくる人たちや映像をつくる環境をとにかく大切に考えてもらいたい」ということ。
作業に摩耗されるだけでは、クリエイティブが枯渇し、いろいろなものがすり減っていきます。逆にクリエイターが楽しめる環境であれば、クリエイティブは大きく変わると考えています。
人や環境を大切にしてもらえればもらえるだけ、我々制作サイドは視聴者が楽しめるコンテンツをつくり、それを大きくしていくことに注力ができる。本作がその理解に繋がるキッカケになればいいなと思います。
取材・文/阿部裕華