年収800万円を超えると幸福感はほとんど変化しない
このときの炭酸飲料の美味しさを「効用」という。「限界効用」は1口目から2口目、3口目への変化のことで、美味しさが減っていくのが「逓減」だ。「これ以上はもういらない」と思ったら、そこが平衡状態になる。「限界効用逓減の法則」というとなにやら難しそうだけど、強い感情を抱くのは最初だけで、うれしいことにも悲しいことにもいずれ慣れてしまうという、誰でも知っていることをいっているにすぎない。
限界効用が逓減するのはヒトの普遍的な性質なので、炭酸飲料以外の(ほとんど)あらゆるものに当てはまる。もちろんお金も例外ではない。
月給10万円のひとが、「来月から1万円アップで11万円にしてやる」といわれたら、ものすごくうれしいだろう。
それに対して月給100万円のひとが101万円になったとしても、なんとも思わないにちがいない。
資産についても同じで、100万円の貯金が200万円になったら大事件だけど、個人資産20兆円のイーロン・マスクなら、数億円程度の資産の増減は気にもとめないだろう。
それでは、収入の限界効用はどのように逓減するのだろうか。これはもちろん個人によってちがうのだが、日本の大学の研究では、年収800万円を超えると幸福感はほとんど変化しなくなるらしい。これは1人あたりだから、夫婦で子どものいる家庭だと、年収1500万円くらいになる。
これを図にすると、こんな感じだ。