「プロレスを辞めたら死ぬ」 福岡の地下アイドルから、世界のリングへ。東京女子プロレス・伊藤麻希の野望_2

ネットで話題となったマイクアピールの真相とは…

――2018年には「死にたくなったら伊藤の試合を観ろ」というマイクアピールで話題となりましたが、この言葉はどういう思いから発していたのですか?

東京ってよく電車の人身事故が起きるじゃないですか。私はまだ福岡から出てきたばっかりで、電車が止まるということに慣れてなかった。でも東京で暮らしている人にとっては、事故が当たり前のようになっちゃっている部分もある……。“人の命が亡くなっているのに、どうして無関心でいられるの”って辛くなった。その経験から、命を投げてしまった人の気持ちを考えるようになったんです。

“もしかしたら、楽しいことがなかったのかもしれない”って想像してみたら、“私なんか、アイドル時代はずっとどん底にいたけれど、今は普通に生きている。だから伊藤を見れば元気になるんじゃないかな”って閃いたんです。

――伊藤さんのマイクに勇気づけられた人は、沢山いると思いますよ。

でも、もうあのマイクパフォは封印しちゃったんですよ。あの時はどん底だったからできたパフォーマンスで、今はもうできないです。

――なぜですか?

だって、今の私は普通の人よりも良い生活していると思うんです。幸せな奴からそういうこと言われても響かないと思う。だからもうああいうマイクは言わないようにしています。

「プロレスを辞めたら死ぬ」 福岡の地下アイドルから、世界のリングへ。東京女子プロレス・伊藤麻希の野望_3

――レスラーとしての今後の目標はありますか?

今後の目標はmakiitouとして世界征服がしたいですね。別に日本を捨てたとか、そういう意味じゃないんですよ。せっかくこの世界に生まれてきて、レスラーにもなったのに、ずっと同じ土地にいるのってもったいないと思うんですよ!

――海外のリングはどうですか?

海外はリングの構造自体が全然違うんですよ。日本のリングって凄く安全なんです。この前も海外で、ロープが切れて人が下に落ちるっていうアクシデントがありましたからね。日本だとそういうケースはほとんどないんですけれど、海外だと全然あり得る環境なんですよ。

――緊張感がありそうですね。

そうなんです。試合も下手くそだったりすると客席からブーイングが起きたりするので大変なんですよ。来年GCWという海外のハードコアの団体にも参戦するし凄く楽しみですね。

――世界のmakiitouがアイドル時代を振り返るとどう感じます?

精神的にも全部変わった気がします。あの時は自分のことしか見えてなかったけど、今は周りのことも見れるようになってきた。そこが一番大きい気はします。昔はよく嫌なことを言うファンと喧嘩をしていたんですよ、ツイッター上で(笑)。でも今はもう相手にしない!

――自分の見せ方も変わってきたのですね。

海外の女性レスラーって、彼氏の写真をSNSにアップするんですよね。でもやっぱり元々がアイドルだからっていうのもあるけど、makiitouは絶対に男性の影も出さないし、食事とかもなるべく上げないようにしているんです。だって人間味が出るのが嫌! 最終的には“makiitouは本当に存在しているのか?っていう感じにしたいんですね。

――何が一番違うと思います?

それはもう、プロ意識ですよね。今はもう地下アイドルじゃない。もう伊藤麻希っていう存在のプロフェッショナルになったから。覚悟が違うんです。福岡から出てきた一人の女の子が、世界でmakiitouになった。だからこそ変われたんだと思います。