水風呂は17℃、サウナの温度は80~90℃に設定する理由
2020年からのコロナ禍では、多くの温浴施設が営業自粛や時短営業を強いられ、厳しい状況に置かれている。惜しまれつつも、銭湯や温浴施設が閉店を余儀なくされるケースもある中、おふろの王様はどのようにしてコロナ禍の苦境を乗り越えてきたのか。
加藤氏は「弊社のみならず、他社も同様に苦しい環境に置かれた」として、次のように話す。
「コロナ禍初年度は、平常時に比べて集客数が6~7割ほどに落ち込みました。感染予防の観点から、基本的には自治体の要請に従うのを徹底しました。やはりその分だけ、売上は大きく落ち込みましたが、逆にそのような経営姿勢がお客様から支持され、感染状況を見て営業再開をしていったときには、お客様の戻りも比較的順調だったと感じています。
入館者数は、2021年はコロナ前の8割くらいでしたが、今年は感染者がおさまっていた時期にはコロナ以前並みの数字に戻る店舗がでるまで回復していて、これといった飛び道具的な施策はやってきませんでしたが、時短要請への対応やアルコール消毒、除菌マシンの導入などの積み重ねが、今につながっていると考えています」
まだまだコロナ禍は完全に収束しておらず、シニア層の一部はまだ店舗に戻ってきていないそうだが、その穴埋めをしているのがサウナ好きの若者だという。
いわゆる“サ活”の一環でおふろの王様を訪れ、「ととのう」体験を楽しむ若者が増えていて、有料のサウナハットやタオルなどの館内グッズの売行きも好況。新しくオープンした和光店では、休日の混雑する時間帯にもどのようにリラックスしてもらえるか、満足度を高められるかが課題となるほどだ。
「サウナブームの隆盛は、店舗運営をしている側からも見ても、勢いをすごく感じています。ただ、あまりブームに寄せすぎても温浴施設としてのマーケティングの観点としては良い判断ではないと思っています。基本的には若い方から子連れのファミリー、シニア層といったマルチターゲットをベースに、誰でも気持ちよく利用いただくために、特別なイベント時以外は水風呂は17℃、サウナの温度は80~90℃を適正に設定するなど、バイアスがかかりすぎないように塩梅を調整しています」