鍛え上げられた体はエリート部隊・海兵隊出身の証

アダム・ドライバーに最初に会ったのは人気TVシリーズ『ガールズ』に出演していたとき。10年前です。
彼の話になると必ず言及されるのが海兵隊に入隊していたこと。海兵隊はアメリカ軍の中でも文武両道の優秀な若者が集まるエリート部隊で、訓練も尋常ではないほど厳しいそうです。それゆえに誇り高き隊員の絆は永遠で、鍛え上げられた体は海兵隊員の勲章だとか。

彼が迷える18歳だったときに入隊した理由はシンプルです。だらだらと目的なく日々を過ごしていた2001年、NYワールドトレードセンターなどへの同時多発テロがあり、眠気が一気にぶっ飛んだという感じで「国のために何かしよう」と思い立ったのがきっかけだとか。『ガールズ』のインタビューでも海兵隊のことが話題になりました。
「3年近く厳しい訓練を受けアフガニスタンに向かう直前、マウンテンバイクの事故で肋骨を折り、悔しい気持ちの中で仲間の出発を見送った」と振り返ります。その後も厳しい訓練に参加したことで肋骨をさらに痛めてしまい、海兵隊を名誉除隊することになったそうです。

演技との運命の出合いを通して広がった世界

「これからどうしようか?」と迷った末、選んだのが演技の道。
実は高校時代にはミュージカルからシェイクスピアまで片っ端からトライしていたほど、演劇に夢中だった過去があります。惹かれた理由のひとつが「自分の中のなんだかはっきりしない感情を言葉にして表現できるという発見があったから」。
インディアナ州のミシャワカという「スペリングを教えないと誰も発音できないような町」で育ち、深く文化に接する環境にいたわけではなかったものの、「演技を通して自分の世界が広がっていったんだ」と教えてくれました。